凸凹ADHD

 

運動という名の「脳のお薬」
【ADHDとドーパミン③】

 

「運動が、体に良いことなんて、分かってる」
「でも、それが、続かないんだよ…」

これまで何度そう思ってきただろう。 新年の誓い。一念発起のジム通い。 しかし、その情熱はいつも数週間で消え去ってしまう。 そして、自分を責めるのです。 「また今回も続かなかった。」と。

はじめまして、「凸凹ADHD」のデコさんです。 今日は、僕らが、この「続かない」という、絶望的なループから、抜け出すための、新しい「物語」についてお話しします。

前回の記事で、僕らは「悪いドーパミン」の沼から抜け出すための方法は「我慢」ではなく「置き換え」であるという話をしました。 しかし、ここで、一つ大きな壁にぶつかります。

僕らの、ドーパミンに飢え、強烈な刺激に慣れきってしまった脳にとって、その「置き換え」は、あまりにも、ハードルが高い。 「悪いドーパミン」に比べ、「良いドーパミン」は、地味に感じてしまうのです。

だから、僕らは、まず、僕らの脳、そのものを「作り変える」必要があるのです。 「ドーパミン耐性」という名の、悲しい「渇き」を、根本から、治療する必要がある。 そして、そのための、最もシンプルで、最も強力な「処方箋」。

それが、「運動」なのです。

運動は、僕らの脳を「作り変える」。運動が、ADHDの脳に与える効果は、想像しているよりも、はるかに強力です。

運動をしている時、僕らの脳内では、ドーパミンだけでなく、セロトニンや、ノルアドレナリンといった、心の安定と、集中力に不可欠な、神経伝達物質が、大量に放出されます。 それは、まるで、天然の「集中薬」を、服用しているようなものです。

しかし、本当にすごいのはここからです。 定期的な運動は、ドーパミンを受け取る側の「鍵穴(受容体)」の感度そのものを、改善してくれることが、研究で分かっています。

つまり、運動を続けることで、僕らの脳は、「少ないドーパミンでも、十分に、満足できる体質」へと、変わっていくのです。 これは、ドーパミンの「燃費」を、良くするようなもの。 前回の記事でお話しした、「悪いドーパミン」という名の短期的な快楽に頼らなくても、僕らは、日常のささやかな喜びで心を満たすことができるようになるのです。

では、どうすれば、僕らは、この運動という名の最高の「お薬」を、飲み続けることができるのでしょうか。 その答えは、「運動」を、「退屈な義務」だと、思うのを、やめることです。「義務」ではなく、「遊び」として、設計することです。

ADHDの脳は、「退屈な繰り返し」を、何よりも嫌います。 だからそれを、自分の脳が「面白い!」と感じる「遊び」や「体験」として、再設計するのです。

例えば、「新しい景色」を探すために散歩をする。 いつもと同じ道を通らないで違う道を歩く。 まだ、降りたことのない、一つ隣の駅まで歩いてみる。 気の向くままに、知らない街を、探検してみる。 その、予測不能な「発見」は、僕らの脳を、確実に、ワクワクさせてくれます。

あるいは、「仲間」という名の、最強の「約束」を作る。 一人で、黙々と、筋トレをするのが、苦痛なら。 友人を、誘ってみませんか。 「週に一度、一緒に、皇居の周りをジョギングしない?」と。 「仲間との、楽しい時間」という、最高の「ご褒美」が、重い腰を上げてくれるはずです。僕はこのやり方で運動習慣を続けています。

そして、「数字」という名の、レベルアップを楽しむ。 僕らの脳は、「成長」を、実感するのが大好きです。 スマホのアプリを使って、自分の歩いた「歩数」や、走った「距離」を記録してみる。 昨日よりも、10歩でも、多く歩けた。 その、小さな「レベルアップ」が、僕らの脳に「達成感」という、ドーパミンを与えてくれます。

もちろん、「良いドーパミン」を生み出す方法は、運動だけではありません。

  • 何かを、創造する: まさに、僕が、このNoteを書いているように。文章を書く、絵を描く、料理を作る。自分の頭の中にある「イメージ」が、目に見える「形」になった時、僕らの脳は、何にも代えがたい「達成感」で、満たされます。

  • 新しいスキルを、学ぶ: 楽器、プログラミング、外国語。昨日まで、できなかったことが、今日、少しでもできるようになった、その「成長の実感」が、の脳に「ご褒美」を与えます。

  • 人と、深く、繋がる: ただ、一緒にいるだけではない。お互いの、心の奥底にある「物語」を語り合い笑い合い、そして、時には一緒に涙する。その、深い「繋がり」の実感が、僕らの心を、何よりも、豊かにしてくれます。

個人的には、運動を一緒にする「仲間」を作ることがもっとも効果が大きかったなと思います。仲間といっしょの運動は続けられるのに、一人の運動は続けられない。そんな自分の特徴にもADHDであることを認識させられます。仲間と共にシェアできる目標なども意識的に立てようとしています。皇居ランをしているのですが、年末には10キロマラソンの大会にエントリーしています。ADHDである自分の弱さを認識しつつ、それをカバーするための方法を自分なりに実践して、より健康的に毎日を少しづつでも充実させて行くのが良いのかと思います。

【ADHDとドーパミン】シリーズの最初の記事はこちら

【ADHDとドーパミン】シリーズはこちら
①ADHDの脳の「支配者」
②短期的な快楽に飲み込まれる
③運動という名の「脳のお薬」
④「社会的ドーパミン」を得よう!
⑤ドーパミンと休息
⑥ドーパミンデトックス
⑦ドーパミン中毒と隠れた原因
⑧最終的なドーパミンとの付き合い方

【ADHD離婚からの再生】シリーズ
※過去のシリーズですがドーパミンに深く関係しています。
①ADHDの禁酒と禁煙
②禁酒後の新しい世界
③「動」と「静」で脳を整える
④運動は「最高の処方箋」
⑤習慣化できますか?
⑥「失敗だらけの過去」の意味

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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