凸凹ADHD

 

 

「あ、ありがとう!」

パートナーが、僕のために、何かをしてくれた時。 僕らの心の中には、間違いなく、感謝の気持ちが、生まれています。 しかし、その言葉が、なぜか、相手の心に、響いていないように感じることが、ありませんか?

相手は、小さく頷くだけ。
あるいは、すぐに、別の話をしてしまう。

僕らは、ちゃんと「ありがとう」と、伝えたはず。
それなのに、二人の間には、なぜか冷たい空気が流れてしまう。
その言葉にならない「すれ違い」の正体は、一体何なのでしょうか。

はじめまして、「凸凹ADHD」のデコさんです。 今日は、「ごめん」と同じくらい大切な、僕らの「ありがとう」についても「心」を乗せる方法をお伝えします。

この謎を解く鍵は、僕らの脳が、物事を「タスク」として、処理してしまう、ユニークな「仕様」にあります。

ADHDの人の脳は、情報の交通整理が苦手です。 そのため、頭の中は、常に、たくさんの「やるべきこと」「やりたいこと」で、溢れかえっています。 その、情報の大渋滞の中で、脳が自分自身をパニックから守るために、身につけた「生存戦略」。 それが、全ての物事を、一つ一つの、独立した「タスク」として、捉えることなのです。

一つのタスクが終わると、僕らの脳は、すぐに「完了!」のハンコを押して、次の、新しい「タスク」を探し始めてしまいます。 僕らの脳が、最も効率よく、エネルギー(ドーパミン)を得るための方法だからです。逆にいうとタスクを並べてあげるとADHDの人はそれらを達成するモチベーションが湧きやすくもありますね。

しかし、僕らの脳は「タスク完了!」という達成感に集中するあまり、その行動に込められた相手の「気持ち」や「思いやり」といった、最も大切な部分を見落としてしまうことが多々あります。

僕らは、感謝を伝えているつもり。 しかし、相手にとっては、それが、ただの「作業確認」のように事務的に聞こえてしまう。 この悲しいすれ違いは、こういった経緯で生まれていることが多いです。

ではどうすれば、僕らはこの「感謝」の気持ちを、相手の心にしっかりと、届けることができるのでしょうか。

実は、この問題を解決する鍵は、以前の記事でお話しした、あの「クッション言葉」に隠されていました。 「ごめん」という言葉の前に、相手の感情を代弁する一言を添えるあの技術です。

「ありがとう」も、全く同じです。 「ありがとう」という、たった一言の前に、相手の「行動」と、その裏にある「思いやり」を、言葉にしてあげる。 ただ、それだけで、あなたの「ありがとう」は、最高の「プレゼント」に変わるのです。

<Before>
「(パンを買ってきてくれて)ありがとう」
(→相手は、「ああ、ただの、おつかいだったんだな」と感じるかもしれない)

<After>
「雨の中、大変だったでしょ。パン、買ってきてくれて、本当にありがとう!これで、明日の朝が、すごく楽しみになったよ」
(→相手は、「私の、この小さな行動と、その裏にある気持ちを、この人は、ちゃんと、見ていてくれたんだ」と感じ、温かい気持ちになる)

僕らが、学ぶべきだったのは、「感謝の言葉」ではありませんでした。 それは、相手の「優しさ」が、僕らの人生に、どれほど、素晴らしい影響を与えてくれたのか。その「物語」を、ちゃんと言葉にして、相手にお返しすることだったのです。心にもない、お世辞を言うのではありません。 僕らの感情をより鮮明に言葉にして伝えること。楽をするのじゃなくって、繊細に自分の気持ちを感じて、言葉にするような習慣を付けてみてください。

それによって、 僕らとそして僕らの大切な人を、もっと幸せにしてくれるはずです。

【ADHD人間関係シリーズ】
①僕らの「当たり前」は相手の「当たり前」ではない
②「なぜ」ではなく「何」で話そう
③クッション言葉はマジで優秀!
④自分の「トリセツ」をパートナーに渡そう
⑤大切なパートナーの「トリセツ」も作ろう。
⑥パートナーの「本音」を聞くのが怖い
⑦彼女とのトリセツ会議
⑧パートナーにも指摘された「ごめん」
⑨「ありがとう」に心を乗せる方法
⑩ついに完成。パートナーの「トリセツ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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