凸凹ADHD

 

A→B→C→Dと進められなくない?
【もしかして、ADHD③】

 

 

「今度の週末、どうしようか」
「うーん、映画とかどうかな…」

パートナーとの、そんな、ありふれた会話の中で。 二人の間に、ふと、沈黙が訪れる。 いつもの選択肢に、お互いの心が、少しだけ色褪せてしまっている。

そんな行き詰まった空気の中で。 あなたの頭の中に、全く新しいアイデアが稲妻のように、広がる。

はじめまして、「凸凹ADHD」のデコさんです。 今日は、あなたのその素晴らしい「独創性」と、少しだけ、不器用な「回り道」が、なぜ、同じ一つの「才能」から生まれるのかについて、お話しします。

実は、僕は読書が苦手です。 じっとして座り文字を追い続けることが苦手だったり、スマホやゲームなどいろいろと読書より簡単で刺激的なものに手が伸びてしまいます。しかし、心のどこかで、読書ができる自分に憧れていました。読みたいと思って買ったけど、手を付けられていない本が何冊かありました。

でもある日、僕の頭に、全く新しいアイデアが、稲妻のように、広がりました。 「もし、一人でできないのなら、二人でやればいいんじゃないか?」 ランニングだって、登山だって、昔苦手だったことが友達と一緒にすることで好きになった経験が僕をそう思わせてくれました。「『読書』という僕にとってあまり魅力的に思えないものを、『彼女との新しいデート』に、変えてしまえばいいんだ」と。そういえば、彼女はカフェも読書も好きだな。

僕は、彼女を誘って、僕らのお気に入りのカフェに行きました。 そこでは、無理に、話す必要はありません。 ただ、同じ空間で、同じ時間を共有しながら、それぞれが、自分の好きな本の世界に没頭する。 すると、不思議なことに、あれほど苦手だった読書が、少しも苦痛ではなかったのです。

この謎を解く鍵は、僕らの脳が、情報を処理する時の仕組みにあります。多くの人の脳が、情報を、A→B→C→Dと、決められたルートを、順番にたどっていく「バスツアー」だとすれば。 僕らADHDの脳は、Aという出発点から、全く、方角の違う、XやY、Zといった、面白そうな場所に、次から次へと、寄り道をしてしまう、気ままな「バックパッカー」なのです。

「読書ができない」という問題に対して、「根性で、頑張る」という、直線的な解決策を選ぶのではなく。 「読書」と、「彼女とのデート」と、「お気に入りのカフェ」という、一見、全く無関係なものを、結びつけて、「読書デート」という、全く新しい「体験」に変えてしてしまう。 それこそが、僕らの脳が、ドーパミンを感じる瞬間なのです。

だから、僕らは時にまっすぐな道を、歩くのが少しだけ苦手です。 例えば、僕は料理が好きですし、作るのも得意なのですが、「レシピ通りに、作ってください」と言われると、ものすごくめんどくさい作業のように感じます。 地味なタスクの連続のように感じるのが嫌なんだと思います。そういったことから、周りから「指示通りに、動けない人だ」と誤解されることもちょくちょくあるかもしれません。

しかし、もしこの話に少しでも心当たりがあるのなら。 あなたの、その落ち着きのない「思考方法」は、ただの「欠点」ではないのかもしれません。 それは、誰もが、同じ道を進んでいる時に、一人だけ、全く新しい「ルート」を発見できるかけがえのない「才能」なのです。次から次に志向が飛ぶことも良いじゃないですか。それらが後になって、たくさんの点を作り、それらが繋がった時に、きっと普通では考えつかないことが見えるよになるかもしれません。

別に、A→B→C→Dと進めなられなくても良いのです。AからX、Y、と自分のやりやすい形で学びに変えて行けばいいんです。まばらに見える点と点をつなぐのが上手なのもADHDのすぐれた特徴なのですから。


【今日のまとめ】
ADHDの人は、いわゆる「順序立てて一歩ずつ(A→B→C→D)」という学び方や作業の進め方が苦手な場合が多いです。代わりに、

  • 興味を持った部分(Aから突然XやYへ飛ぶような形)にエネルギーを注ぎやすい

  • 「点」で得た知識や経験を後からユニークに「線」でつなぐのが得意

  • 一見バラバラに見えるアイデア同士を結びつけ、新しい発想や解決策を生み出す

といった特徴が強みとして表れます。つまり、直線的な学習や作業が苦手でも、それを「弱点」ではなく「独自のルートで進める強み」と捉える考え方は、ADHDの特性を活かす上でとても有効です。

【もしかして、ADHD】シリーズの最初の記事はこちら

【もしかして、ADHD】シリーズ
①何かに没頭してしまうことって無い?
②衝動性はただの欠点なのでしょうか?
③A→B→C→Dと進められなくない?
④めっちゃポジティブだねとか言われない?
⑤決まりきったルールが我慢ならなくない?
⑥デリカシーがないって言われない?
⑦多動はただの欠点なのでしょうか?

ADHDの学びをさらに深めるための記事がこちらです。
【凸凹ADHD】シリーズ
①あなたの「弱み」は、裏返せば「武器」になる。
②「先延ばし癖」という絶望が、最強の「集中力」に変わる瞬間
③なぜ僕らは「人の痛み」に、誰より敏感なのか
④「退屈な時間」に、1秒も耐えられない理由
⑤「時間」にルーズなのは、脳が「未来」を旅しているからかもしれない
⑥「三日坊主」という絶望が、「リーダーシップ」に変わる日
⑦なぜ僕らは「グループ会話」が苦手で、「1対1」が得意なのか
⑧なぜ僕らの部屋は片付かず、頭の中は新しいことで溢れているのか
⑨なぜ僕らは、絶望の数だけ「最強」になれるのか

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