凸凹ADHD

 

 

めっちゃポジティブだねとか言われない?
【もしかして、ADHD④】

 

 

昨日、人生最悪の失敗をして、世界の終わりのように、落ち込んだはずなのに。 朝、目が覚めると、心は不思議なほど軽くなっている。「まあ、なんとかなるか」と、もう今日のことを考え始めている。

その驚異的なまでの「回復力」。 周りの人は、言うかもしれません。
「本当に、ポジティブだね」と。

そして、ADHD当事者の僕自身も、そんな自分の「切り替えの早さ」に、助けられてきたことが何度もあります。

しかし、その一方で。 こんな、不思議な「不器用さ」に、悩まされてはいませんか?

あれほど、大切だと心に誓ったはずの記念日や約束。
「絶対に、忘れないように」と、何度も頭の中で、繰り返したはずの頼まれごと。 それが、なぜか、記憶からすっぽりと抜け落ちてしまう。

はじめまして、「凸凹ADHD」のデコさんです。 今日は、あなたの素晴らしい「回復力」と、厄介な「忘れっぽさ」が、なぜ同じ一つの「性質」から生まれるのかについてお話しします。

この謎を解く鍵は、僕らの脳が、情報を「記憶」する方法そのものにあります。ADHDの脳は、「過去の、ネガティブな感情」を、長く保存しておくのが、あまり得意ではありません。 それは、僕らの脳が常に「今、この瞬間」を、全力で生きることを何よりも優先するからです。 過去の、重たい「痛み」のデータは、新しいワクワクする「刺激」によって、次から次へと上書き保存されていくのです。

だから、僕らは失敗してもクヨクヨしない。 ケンカをしても根に持たない。 それは、僕らが「楽観的」だから、というだけではなく、脳の仕組みとしてそうなるように機能していたのです。

しかし、その「上書き保存」機能は、僕らを困らせることがあります。 僕らの脳は、「忘れるべき、辛い記憶」と、「覚えておくべき、大切な約束」を、うまく区別することができないのです。完全に記憶から消えてしまうわけではないのですが、そこにアクセスできなくなってしまうという方が正しいと思います。誰かにそれを指摘されたり、思い出せるような何かトリガーがあれば思いだせるのですが、それが無い限りは思い出せないというような感じになります。

「新しい刺激」という、強力なデータがやってくると。 僕らの脳は、それが、どんなに「大切な約束」であっても、古いデータとして、上書きしてしまう。 その結果、ADADの僕らは周りから「無責任な人だ」と、誤解されてきたのかもしれません。

しかし、もしあなたがこの話に少しでも心当たりがあるのなら。その厄介な「忘れっぽさ」は、ただの「欠点」ではないということです。 それは、どんな絶望的な状況でも、次の日には、また新しい一歩を踏み出すことができる、かけがえのない「性質」の裏返しなのです。そして、過去や未来では無く、今を生きることにフォーカスした結果なのです。
今まで自分の欠点と思っていた部分も、それは自分の性質が招いた悪い部分であって、同時に良い部分も享受していることに気が付きます。むしろ、個人的には良い部分の素晴らしさに目が行きます。
「今を生きること」の大事さが語られることって多いと思います。それがADHDの特性の一つとして備わっていると思うとADHDで良かったなと思います。

今回の記事のように、辛い出来事、悲しい出来後からの高い「回復力」や「切り替えの早さ」をお持ちで、尚且つ忘れっぽさもあるようであれば、ADHDの特徴をお持ちの可能性があるかと思います。自分自信としっかり向き合って、自分自信とそして世界を理解するのにADHDを学ぶことをお役立てください。

【もしかして、ADHD】シリーズの最初の記事はこちら

【もしかして、ADHD】シリーズ
①何かに没頭してしまうことって無い?
②衝動性はただの欠点なのでしょうか?
③A→B→C→Dと進められなくない?
④めっちゃポジティブだねとか言われない?
⑤決まりきったルールが我慢ならなくない?
⑥デリカシーがないって言われない?
⑦多動はただの欠点なのでしょうか?

ADHDの学びをさらに深めるための記事がこちらです。
【凸凹ADHD】シリーズ
①あなたの「弱み」は、裏返せば「武器」になる。
②「先延ばし癖」という絶望が、最強の「集中力」に変わる瞬間
③なぜ僕らは「人の痛み」に、誰より敏感なのか
④「退屈な時間」に、1秒も耐えられない理由
⑤「時間」にルーズなのは、脳が「未来」を旅しているからかもしれない
⑥「三日坊主」という絶望が、「リーダーシップ」に変わる日
⑦なぜ僕らは「グループ会話」が苦手で、「1対1」が得意なのか
⑧なぜ僕らの部屋は片付かず、頭の中は新しいことで溢れているのか
⑨なぜ僕らは、絶望の数だけ「最強」になれるのか

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