凸凹ADHD

 

 

「また」「いつも」「どうせ」って言わないで
【ADHDに伝える④】

 

「また、新しいことを始めたの?」
「いつも、途中で投げ出すよね」
「どうせ、今回も続かないんでしょ」

ADHDのパートナーの方の、その一言は、決して悪意から生まれたものではないのはわかっています。 これまでの、数え切れないほどの経験からくる、純粋な「心配」や「諦め」。 そして、「なんとかADHDの彼の状況を良くしたい」という切実な「願い」だったのかもしれません。

しかし、そのあまりにも「正しい」言葉が、ADHDの彼の心を、深く、そして、静かに傷付けてしまう。 そのことに気づいていないのかもしれません。

はじめまして、「凸凹ADHD」のデコさんです。 今日は、僕らADHD当事者が、パートナーから言われて、深く傷つき、心を閉ざしてしまう「呪いの言葉」の正体。 そして、その呪いを、二人の関係をもっと強くする「信頼の言葉」へと、変えるための方法についてお話しします。

僕らの脳を動かす、たった一つの強力なエンジン。
それは、「今度こそ、うまくいくかもしれない!」という、
根拠のない「希望」です。

僕らはこれまでの人生で、数え切れないほどの「失敗」を、繰り返してきました。しかしながら、ADHDの人は失敗の記憶もうまく忘れることができる場合が多いです。だからこそ、常にまた新しい「挑戦」をしたいと思えるのです。ただ、失敗につぐ失敗の経験で自信も少なくなっている場合も多いです。やりたいはやりたいけど自信はあまりない。そんな状態を想像してみてください。

そんな時に、「また」「いつも」「どうせ」という外部からの言葉は、新しい事に挑戦したいという希望の炎に、冷たい水を、浴びせかけるようなものなんです。 僕らの脳は、その言葉を、「あなたの過去の失敗を知っているよ。だから、あなたの未来にも、期待していないよ」という、絶望的な「宣告」として受け取ってしまいます。

そしてその時、ADHDの僕らの心の中では、言葉にならない、こんな叫びが、渦巻いているのです。

「たくさん失敗してきたさ。だから何なんだよ?」
「挑戦しないやつが偉そうに言うなよ。」

とは口には出さずとも、内心思っていると思います。
では、ADHDパートナーさんはどうすればいいのでしょうか。

大切なのは、彼の未来を過去の失敗から予測するのをやめることです。
その代わりに、彼のエキサイティングな「情熱」が、道に迷わないために彼の話を聞いてあげることです。

例えば、彼がまた壮大な新しい目標を語り始めた時。

これまでの伝え方:
「また、どうせ、続かないんでしょ。ちゃんと、計画を立てなよ」
(→ADHDの脳は、これを「批判」と「否定」として受信し、心を、閉ざします)
本当に「言ってほしい」言葉:
「そのアイデア、すごく面白そうだね!目が輝いてるよ。もっと詳しく教えてよ! 」

この伝え方は、彼の脳を、確実にポジティブな方向へと動かします。 なぜなら、これは彼の「夢」を否定するのではなく、その「夢」を誰よりも信じ、その成功を願っているという最高の「信頼のメッセージ」として、認識されるからです。

ADHDのパートナーが、今日から始めるべきこと。 それは、彼の「欠点」を管理することではありません。 彼のその誰にも真似できない「才能」を誰よりも信じてあげることです。

ADHDに伝えるシリーズの第一話はこちら

【ADHDに伝える】シリーズ
①ADHDが本当に欲しい言葉~信頼の言葉~
②常識や普通と比べるのはやめて
③ADHDのエンジンの掛け方!よーいドン!
④「また」「いつも」「どうせ」って言わないで
⑤忘れた理由?それは聞かないで

以前にも、ADHDパートナーの方に向けてのシリーズを書いています。
ADHDパートナーの人は是非こちらも読んでみてください~^^
①なぜ彼は、私の話を「聞いていない」のか。
②なぜ彼の「ごめん」は火に油を注ぐのか
③なぜ彼は、趣味に没頭すると私のことを忘れてしまうのか
④なぜ彼はあなたの「何気ない一言」でキレるのか。
⑤彼との関係に絶望しているあなたへ
⑥彼を「変える」のを諦めた日に全てが始まった
⑦「カサンドラ症候群」からあなたを救いたい

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