凸凹ADHD

 

ADHDのエンジンの掛け方!よーいドン!
【ADHDに伝える③】

 

「あとでやるわ」

ADHDのパートナーの人は、この言葉を、これまで何度聞いてきたと思います。 はい、ADHD当事者の僕もこの言葉を何度も何度も言ってきた自覚があります。そして、そうなんです。その「あとで」が、永遠にやってこないことをADHDのパートナーの人は何度となく学んできたのでしょう。

それに対して、きっとこんな声かけをしているのではないでしょうか。

「あれまだやってないの?」
「早く片付けてって、言ったよね?」

ADHDパートナーの人は、ほんの少しだけ手伝ってほしいだけ。 しかし、彼は、スマホを眺め、ソファから一歩も動こうとしない。 その、絶望的な光景に、心は、静かにすり減っていくんです。

はじめまして、「凸凹ADHD」のデコさんです。 今日は、僕らADHD当事者が、なぜ、やるべきことの前で、石のように固まってしまうのか。 そして、そのときになんという声かけをすると、固まっている彼を動かすことができるのかについてお話しします。

まず、何よりも先に、知っておいてほしいことがあります。 ADHDの彼が、やるべきことを、先延ばしにするのは、決して、あなたを、困らせたいからではありません。 まず、悪意が無いことを理解してください。ADHD側とすると、こちらは悪意は全然ないんです。本当にあとでやろうって思っていて、それを放置しているだけ。それが一定の時間をすぎると、相手が悪意をもってこちらに向かってくるように感じるんです。そうすると、必然的に戦わないと行けいと思い逆切れするパターン。もしくは逃げないといけないと思い逃避するパターンです。

まずADHD当事者の僕らの脳は、「行動を起こす」ために、非常に多くの「起動エネルギー」を必要とします。 特に、それが「退屈」で、「面白くない」作業であれば、あるほど、その、最初の一歩を踏み出すための、エネルギーが、なかなか湧いてこないのです。 それは、エンジンがかからない、古い車のようなもの。 僕らは、アクセルを踏みたいのに、体が動かない。

この説明も、ADHDパートナの人からすると、とっても言い訳がましく聞こえるかもしれませんが、実際にADHDのパートナーの人が簡単にできてしまうことが、ADHDの人にはそうではないのということを理解してもらいたいです。

ADHDパートナーの人はこういう風に反応していませんか?
「なんでそんな簡単なことをすぐできないの?」
そう。ADHDパートナーの人にとってはすごく簡単に思えることなのです。
だからよりイライラするんですよね。そして、ADHDの人には簡単では無いということが理解するのが難しいんだと思います。

大切なのは、ADHDの彼の、重い背中を、後ろから、無理やり押さないことです。 その代わりに、彼の隣に立ちスタートの「号砲」を鳴らしてあげるのです。

今日、あなたにお渡ししたい、たった一つの「会話の鍵」。 それは、彼に「時間」という、明確な「スタートライン」と「ゴールテープ」を、プレゼントしてあげる、ということです。

例えば、あなたが、彼に、散らかった部屋の「片付け」をお願いしたい時。

  • これまでの伝え方:
    「ねえ、この部屋、いつになったら、片付けるの?」
    (→ADHDの脳は、これを「終わりなき、巨大なタスク」として受信し、さらに、心を閉ざします)

  • 僕らが、本当に「言ってほしい」言葉:
    「ねえ、今から、たった15分だけ、『お部屋リセットタイム』にしない? 私が、タイマーをかけるから、好きな音楽でもかけて、よーいドン!で、始めよう。 15分経ったら、途中でも、終わり。そのあとは、美味しいコーヒーでも、一緒に飲もうよ」

この、たった一言が全てを変えます。 なぜなら、これは、彼にとって、「いつ終わるか分からない、絶望的な作業」ではなく、 「明確なゴールと、最高の報酬が待っている、楽しいゲーム」として、認識されるからです。

ADHDのパートナーが、今日から始めるべきこと。 それは、彼の「お母さん」や「マネージャー」になることではありません。 彼の、かかりにくい「エンジン」の、最初の火付け役。 最高の「スターター」になってあげることです。

「よーいドン!」

その、あなたの明るい一言が、彼の止まっていた心を、もう一度動かし始める。 そして一度走り始めた、ADHDの僕らのエンジンは、驚くほど早く走るんです!


今日の記事の「よーいドン!」はこの歌からインスパイアされました。

この歌の歌詞はADHDの人は共感することが多いと思います。
直感的、衝動的にシェアしたくなるのもADHD的です。
昨日から僕の頭の中でこの曲が流れています。


ADHDに伝えるシリーズの第一話はこちら

【ADHDに伝える】シリーズ
①ADHDが本当に欲しい言葉~信頼の言葉~
②常識や普通と比べるのはやめて
③ADHDのエンジンの掛け方!よーいドン!
④「また」「いつも」「どうせ」って言わないで
⑤忘れた理由?それは聞かないで

以前にも、ADHDパートナーの方に向けてのシリーズを書いています。
ADHDパートナーの人は是非こちらも読んでみてください~^^
①なぜ彼は、私の話を「聞いていない」のか。
②なぜ彼の「ごめん」は火に油を注ぐのか
③なぜ彼は、趣味に没頭すると私のことを忘れてしまうのか
④なぜ彼はあなたの「何気ない一言」でキレるのか。
⑤彼との関係に絶望しているあなたへ
⑥彼を「変える」のを諦めた日に全てが始まった
⑦「カサンドラ症候群」からあなたを救いたい

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