
大切なパートナーの「トリセツ」も作ろう。
【ADHD人間関係⑤】
前回の記事で、僕らは大切な人に、自分という人間の「取扱説明書(トリセツ)」を渡す、という話をしました。 穏やかな時に、自分の特性や、「こうしてくれると助かる」という具体的なお願いを伝える。 これは、僕らの関係を、より深いものにするための、非常に重要な一歩です。
しかし、トリセツを渡したその次の瞬間。 僕らの頭には、新たな不安がよぎります。
「伝えたはいいけど、相手はどう思っているんだろう?」
「なんだか、相手にばかり我慢をさせているような気がする…」
「僕のトリセツが、相手を縛る新しいルールになってしまったら、どうしよう?」
はじめまして、「凸凹ADHD」のデコさんです。 今日は、僕が渡した「トリセツ」が、一方的な「お願いリスト」で終わらないために。 それを、二人で、育てていくための、物語の続きについて、お話しします。
僕らが、自分のトリセツを渡した時。 本当に、伝えたかったのは、「僕のルールに従ってくれ」ということではありません。僕らが渡したかったのは、「僕らの関係を、もっと良くするための、作戦会議を始めよう!」という、対話への「招待状」だったはずです。
僕らが目指すべきなのは、自分のトリセツと、相手のトリセツを、テーブルの上に広げ、お互いの「個性」を、一緒に、楽しく理解を深めていくことです。
相手は、あなたのトリセツを読んで、初めて知ることも、多かったはずです。 「そうか、あの時の行動には、そんな理由があったんだ」 「こうすれば、この人は助かるんだな」 相手もまた、あなたとの最適な関わり方を、探しているのです。トリセツを渡すことでパートナーにも喜んでもらえます。
なので、僕らは次に、相手にこう、問いかける必要があります。 「僕のトリセツを読んで、どう思った? そして、あなたのトリセツも教えてくれないかな?」と。
「あなたが苦手なこと・得意なことは何?」
「すれ違いが起きやすいパターンとかってないかな?」
「僕にこうしてくれると助かるみたいなことってどんなことがある?」
この対話を通して、僕らは、お互いの理解を、少しずつ深めていきます。 それは二人だけの「庭」を、一緒に手入れしていくような根気のいる、しかし愛おしい作業になることでしょう。
一度、分かったつもりになっても、人の心は、日々、変化します。 月に一度、15分だけでいい。「僕らの関係、最近どう?」と、お互いの気持ちを確認し合う時間を設けるといいと思います。「LINEでリマインドしてくれるの本当に助かる。」「一緒だからできてることが本当多いからね。」と相手に感謝を伝えましょう。
これは、ADHD側の僕らだけが、楽になるための取り組みではありません。 「僕が何をすれば、大切なパートナーは幸せな気持ちになるんだろう?」 相手の願いを聞き、それを自分の行動で示していく。 双方向の思いやりこそが、一方的な負担ではない対等なチームを作り上げるのです。
僕らが目指すのはお互いの違いを、楽しみ、尊重し合いながら、二人で、書き足し、修正していく、世界でたった一つのトリセツです。
その、終わりのない「手入れ」の旅こそが、 僕らを、どんな問題も、一緒に乗り越えていける、最高の「パートナー」へと、育ててくれるのですから。
PS:パートナーのトリセツも下に載せたいけど、この記事の内容はまだ実行できていないです。実際に聞けたら載せたいと思います。(2025年9月11日)
PS:下にパートナーのトリセツを作って載せました。(2025年9月18日)
【ADHD人間関係シリーズ】
①僕らの「当たり前」は相手の「当たり前」ではない
②「なぜ」ではなく「何」で話そう
③クッション言葉はマジで優秀!
④自分の「トリセツ」をパートナーに渡そう
⑤大切なパートナーの「トリセツ」も作ろう。
⑥パートナーの「本音」を聞くのが怖い
⑦彼女とのトリセツ会議
⑧パートナーにも指摘された「ごめん」
⑨「ありがとう」に心を乗せる方法
⑩ついに完成。パートナーの「トリセツ」
【パートナーのトリセツ】
1.「苦手なこと」
身体的な不快感に弱い:
眠気、寒さ、空腹に、人一倍、敏感である。
心配性で、ネガティブな妄想癖がある:
特に、人間関係において、「嫌われているのかもしれない」と、相手の気持ちを、ネガティブに想像してしまい、一人で塞ぎ込んでしまうことがある。
頑固な一面がある:
一度、自分で「こうだ」と決めたこと(例:海外留学、バイク)は、周りの意見を聞かずに、突き進んでしまうことがある。(これは、長所である「粘り強さ」の、裏返しとも言えます)
人に、気を遣いすぎてしまう:
場の空気を壊したくない、という気持ちが強く、人の顔色を、常にうかがってしまう。
自分の意見を、言えずに我慢してしまう:
その結果、面白くなくても笑ったり、共感していないのに同意したりしてしまい、後で、一人で、どっと疲れてしまう。
2.「得意なこと」
基本的な生命力が高い:
よく食べ、よく寝て、よく動く。心身ともに健康的で、エネルギッシュ。
フットワークが軽い:
移動が速く、思い立ったらすぐに行動できる。
基本的にポジティブで、よく笑う:
明るく、その場の雰囲気を和ませることができる。
人を楽しませたい、という気持ちが強い:
常に、周りの人が楽しんでくれているかを気にかけている、根っからのエンターテイナー。
粘り強く、諦めない:
一度決めたことは、最後までやり抜く、強い意志を持っている。
真面目である:
物事に、誠実に取り組むことができる。
感情のコントロールが、比較的得意:
自分の感情を、ある程度、自分で制御することができる。
幸せの感受性が、非常に高い:
「晴れている」「花が咲いている」といった、日常の、ほんの些細な出来事にも、幸せを見つけ出すことができる、豊かな感性を持っている。
優しく、人が好き:
動物や子供が好きで、基本的に、人間という存在を、肯定的に見ている。
3.誤解されがちな行動と、その「本当の理由」
そっけない、壁があるように見える時がある
誤解されがちな行動:
相手に対して、自分から、そっと距離を置いたり、会話を避けてしまったりすることがある。
その、本当の理由:
それは、相手のことが嫌いなのではなく、むしろその逆です。
心の中では、「この人は、私のことが嫌いなのかもしれない」という、ネガティブな妄想が始まってしまっています。そして、その、これ以上傷つくことへの「恐怖」から、自分自身を守るために、彼女は、自分から先に、心のシャッターを下ろしてしまうのです。
いつも元気で、明るく、何でも受け入れてくれるように見える
誤解されがちな行動:
面白くないことでも、つい笑ってしまったり、本当は共感していないのに、「そうだよね」と、同意してしまったりする。
その、本当の理由:
「場の空気を壊したくない」「相手をがっかりさせたくない」という気持ちが、人一倍強いです。
そのため、本当の自分の気持ち(疲れている、興味がない)を、なかなか、表に出すことができず、つい無理をして相手に合わせてしまいます。
そして、その「偽りの自分」と「本当の自分」のギャップに、後で、一人でどっと疲れてしまうのです。
何でもできる、頼りになる、強い人だと思われる
誤解されがちな行動:
本当は、自分のキャパシティを超えていても、「できる」と言ってしまったり、体調が悪くても、「大丈夫」と、平気なフリをしてしまう。
その、本当の理由:
深い優しさの現れ。相手に、「迷惑をかけたくない」「心配をさせたくない」という気持ちが、あまりにも強すぎる。その結果、自分の「弱さ」を、なかなか、見せることができず、一人で、全てを抱え込んでしまうのです。
努力が、なかなか、成果に結びついていないように見える
誤解されがちな行動:
仕事などで、周りからは「もっと、頑張れるはずなのに」「要領が、悪いのではないか」と、思われてしまうことがある。
その、本当の理由:
彼女自身は、誰よりも、真面目に、そして、一生懸命、物事に取り組んでいます。しかし、その、目に見えない「努力」が、必ずしも、周りが期待するような、分かりやすい「成果(数字など)」に、結びつかないことがある。
その理想と現実のギャップに苦しんでいます。
4.「こうしてくれると、すごく助かる」
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言葉の「温度」を、大切にしてほしい
本当に求めていること:
言葉の「正しさ」よりも、その「言い方」に、深く、心を動かされます。厳しい言葉や、冷たい正論は、心を、固く閉ざしてしまいます。でも、同じ内容でも、そこに、ほんの少しの「優しさ」や「気遣い」が加わるだけで、私の心は安心して言葉を素直に受け取ることができます。
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「寄り添う」ことへの、正直な気持ち
本当に求めていること:
心の奥底では、「寄り添ってほしい」と強く願っています。でも、同時に、「それは、難しいことなのかもしれない」と、半分、諦めてしまっている自分もいます。それは、「個性」や「性格」を、尊重しようと、必死に努力しているからです。無理な要求をするのではなく、その「違い」を理解しようと戦っています。
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「助けて」が言えない私に、気づいてほしい
本当に求めていること:
自分の弱さを見せたり、自分から「助けて」と、SOSを発信するのが、非常に苦手です。でも、心の中では、いつも、助けを求めています。だから、「何か、困ってることない?」「大丈夫?」と、その、たった一言の「きっかけ」を与えてくれるだけでいい。そうすれば、私は、安心して頼ることができます。
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「褒め言葉」で、エネルギーを充電してほしい
本当に求めていること:
私は、とても「単純」です。厳しい言葉や、批判は、私を、深く傷つけ、心を塞ぎ込ませてしまいます。でも、「すごいね」「ありがとう」という、ポジティブな言葉は、私にとって最高の「エネルギー源」になります。褒められることで、もっと頑張れる。もっと幸せにしたいと思えるのです。
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私を「自然」に、連れ出してほしい
本当に求めていること:
私は、旅行や、自然、動物と触れ合うことで、心のエネルギーを、充電するタイプです。もし、私が、少し、疲れているように見えたら。ただ、一緒に自然の中を散歩してください。それだけでまた元気を取り戻すことができます。
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周りの人の「ご機嫌」が、私のお守りになる
本当に求めていること:
私は、周りの人の「不機嫌」に非常に敏感です。周りの人がイライラしていると、「私が何か悪いことをしたのだろうか」と、自分を責め、不安になってしまいます。だから、周りの人がご機嫌で笑っていてくれること。それが、私にとって何よりの「安心」であり「心の平和」に繋がるのです。