凸凹ADHD

 

彼との関係に絶望しているあなたへ
【ADHDパートナー⑤】

 

 

「私が黙っていれば、この家は平和なのに」

あなたはもう十分に努力してきました。

ADHDの彼に何を言うか。いつ言うか。どうやって言うか。
彼の「地雷」を踏まないように、常に細心の注意を払って、言葉を選んできました。

それなのに、なぜかあなたの優しさは彼には届かない。
あなたの、その血の滲むような努力は報われない。
そして、あなたは、気づくのです。

この家で平和を保つための唯一の方法は、あなたが自分を殺し沈黙することなのだと。

その息が詰まるような絶望感。
あなたは、今、そんな暗いトンネルの中でたった一人光を探しているのではないでしょうか。

はじめまして、「凸凹ADHD」のデコさんです。

今日は、そんなあなたの疲れ果てた心に、そっと寄り添うためのお話をします。これは、彼を「変える」ための話ではありません。あなたが、あなた自身を「守る」ためのお話です。

昨日の記事で、ADHDの脳が、時に「拒絶されることへの過敏性(RSD)」によって、あなたの何気ない一言を、「致命的な攻撃」として、誤変換してしまうという話をしました。

あなたが、良かれと思ってどんなに言葉を選んでも。 彼の脳の「警報システム」は、時に誤作動を起こします。 そして、一度、警報が鳴り響けば、彼の脳は、パニック状態に陥りあなたの言葉はもう彼には届きません。

あなたは、ただ彼と「対話」をしたいだけ。 しかし、彼の脳はそれを「戦闘」だと勘違いしてしまうのです。

では、どうすればいいのでしょうか。 もっと、言葉を選ぶ?もっと、彼の機嫌をうかがう? いいえ。もう、その必要は、ありません。

あなたが、今日から、やめていいこと。
それは、彼の「土俵」で戦うことです。

彼の脳が、パニックという名の「嵐」に飲み込まれている時。 あなたが、どんなに正論を言っても、どんなに愛情を伝えても、それは、嵐の勢いを、増すだけです。 その勝ち目のない戦いに、あなたはもう付き合う必要はないのです。

今日、あなたにお渡ししたい、たった一つの「お守り」。
それは、「今は、話さない」という、新しい選択肢です。

彼が、感情的になり始めた、その瞬間。 あなたが、「ああ、また、このパターンだ」と感じた、その時。 彼と話すこと、彼を説得しようとすることを、やめてみてください。 そして、静かに、しかし、はっきりとこう伝えるのです。

「あなたが、今、すごく感情的になっているのが、私にも伝わってくる。でも、今の状態のあなたとは話したくない。お互いが、もっと穏やかな時に、もう一度話をしよう」

なぜ、この「沈黙」は、最強の「武器」になるのか

この言葉は、決して、彼を拒絶しているのではありません。
これは、「私は、あなたとの関係を諦めたくない。だからこそ、お互いを傷つけ合うだけの不毛な戦いはもうしない」という、非常に前向きで、そして、誠実なメッセージです。

この、あなたの毅然とした態度は、二人の関係に新しい「ルール」をもたらします。

  1. 彼の脳に、学習させる 「感情的に、暴走しても、彼女は、もう、僕の土俵には上がってくれないんだ」と、彼の脳は、少しずつ、学習していきます。

  2. あなたに、「主導権」を取り戻させる いつ、どこで、どのような状態で話すか。その「主導権」を、あなたが、握ることができます。あなたは、もう、彼の感情の波に、ただ、翻弄されるだけの、無力な存在ではありません。

  3. そして、何よりもあなたの心を守る これ以上、あなたが彼の言葉に傷つく必要はないのです。

あなたが、これまで流してきた涙。 あなたがこれまで重ねてきた数え切れないほどの努力。時に、ADHDのパートナーを持つことはそれほどに大変にもなりえるのだと思います。

もう一人で頑張らなくていい。 もう自分を責めなくていい。

大切なのは、彼を変えることではありません。あなたが、あなた自身の「心の安全」を、何よりも最優先にすること。そして、自分自身を一番に愛してあげてください。

 

ADHDパートナーの方へ

①なぜ彼は、私の話を「聞いていない」のか。
②なぜ彼の「ごめん」は火に油を注ぐのか
③なぜ彼は、趣味に没頭すると私のことを忘れてしまうのか
④なぜ彼はあなたの「何気ない一言」でキレるのか。
⑤彼との関係に絶望しているあなたへ
⑥彼を「変える」のを諦めた日に全てが始まった
⑦「カサンドラ症候群」からあなたを救いたい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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