
会話の前に、勝負は決まっている。
【ADHDの伝える技術①】
「ああ、また、言わなければよかった…」
「なぜ、うまく伝わらないんだろう…」
ADHDの僕らの頭の中には、たくさんの優しい気持ちがあります。 情熱的な想いや、素晴らしいアイデアが渦巻いています。 しかし、それを「言葉」にした瞬間、なぜか、誤解されてしまう。
それは決して、僕らの「想い」が足りないからではありません。 ただ、僕らの「脳の仕様」に合った、コミュニケーションの「技術」を、誰も教えてくれなかった。 ただ、それだけのことなのです。
はじめまして、「凸凹ADHD」のデコさんです。 今日から、僕らが自分自身を守り、そして大切な人とより深く繋がるための、全く新しいシリーズを始めます。 これは、僕らのための具体的な「会話の道具箱」です。
ADHDの脳は、準備なしで戦うのが苦手です。 特に、大切な人との重要な会話。 その場で、瞬時に自分の考えをまとめ、相手の感情を読み取り、最適な言葉を選ぶ。 この、マルチタスクな作業は、僕らの脳のワーキングメモリに、大きな負荷をかけます。
その結果、僕らは頭が真っ白になったり、衝動的に関係のないことを話してしまったりするのです。
しかし、この問題は、ほんの少しの「準備」で、劇的に改善することができます。 戦いの前に、勝敗の8割は決まっている。 それは、コミュニケーションにおいても、全く同じなのです。
大切な会話の前に、僕らがすべき、たった一つのこと
今日は、全ての基本となる、「準備編」から、最も効果的な一つの道具をご紹介します。
それは、今日の「ゴール」を、一つだけ決める、ということです。
ADHDの僕らの脳は、たくさんのことを同時にやろうとすると、混乱してしまいます。 「相手の話を、しっかり聞かなきゃ」 「僕の意見も、ちゃんと伝えなきゃ」 「場の空気も、読まなきゃ」 これでは、脳がパンクしてしまうのも当然です。
だから、大切な会話の前には、自分にこう問いかけてみてください。
「今日の、この会話の目的は、なんだろう?」
「僕が、本当に、達成したいことは、たった一つだけ、何だろう?」と。
例えば、 「今日は、ただ、彼女の話を、最後まで、遮らずに聞くことだけを、目標にしよう」 「今日は、僕の意見を、たった一つだけ、穏やかに伝えることができたら、100点満点だ」
たった一つで、いいのです。 その、たった一つの「ゴール」が、あなたの脳にとって、暗い海を照らす「灯台」の光になります。 会話が、あちこちに脱線しそうになっても、僕らは、その光を目指して、いつでも、本筋に戻ってくることができるのです。
もう、僕らが、コミュニケーション能力がないと自分を責めるのはやめにしましょう。 それは、才能の問題ではありません。ただの、技術の問題です。
大切なのは、自分の脳の「仕様」を、深く理解すること。 そして、その仕様に合った、正しい「道具」を使うことです。
まずは、次の大切な会話の前に、あなただけの、小さな「ゴール」を、一つだけ決めてみるという新しい習慣を試してみると良いかも知れません。