
「失敗だらけの過去」の意味【ADHD離婚からの再生⑥】
自分を受け入れ、新しい刺激と出会い、心身をととのえ、仲間との新しい繋がりを築いていく。 そのプロセスの中で、僕は、かつてないほどの心の平穏と、自分自身への信頼感を感じていました。しかし、僕の心には、最後の、そして最大の一つの問いが、ずっと残っていたのです。
「これまでの、あの全ての苦しみや失敗に、一体、どんな意味があったのだろうか?」と。
はじめまして、「凸凹ADHD」のデコさんです。 これは、僕が自分の「失敗だらけの過去」を、未来を照らす「希望」へと変える、その最後の気づきについての物語です。
人生は、壮大な「学びの連続」だった
ある日、僕は、これまでの自分の人生を、静かに振り返っていました。
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周りと同じようにできないことを「俺は周りと同じようにしたくないんだ」と勘違いしていた、学生時代。
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常識が無いことを「デコさんはアメリカ留学から帰ってきたばかりだから」と、呆れられていた新入社員の頃。
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「良い物を作れば売れるはずだ」と思い込んで作ったホームページシステムが、全く売れなかった、起業での失敗。
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そして、人生最大の失敗だと感じた、離婚。
それらは、思い出すだけで胸が苦しくなるような、僕の人生の「過ち」の記録でした。 しかし、その時、僕の頭に、全く新しい視点が浮かんだのです。
「待てよ。これらの出来事は、ただの失敗の記録じゃない。一つ一つの失敗が、今の自分を形作る、必要不可欠な『学び』だったんじゃないか?」と。
そう思った瞬間、過去の全ての景色が、一変しました。
僕の離婚は、単なる悲劇ではなかった。それは、「このやり方では、人間関係は破綻する」という、最も痛みを伴う教訓を、僕に教えてくれました。
僕の仕事での失敗は、単なる無能さの証明ではなかった。それは、「この環境では、自分の力は発揮できない」という、キャリアにおける重要な事実を、僕に教えてくれました。
僕の人生の、全ての「弱み」と「痛み」は、今のこの「深い自己理解」にたどり着くために、避けては通れないプロセスだったのです。 ADHDについての理解を得て、そのことに気づいた時、僕は、初めて、自分の過去の全てを、心から許し、そして、その学びの価値を受け入れることができました。
この「知見」を届けたい
では、この膨大な「学び」を得た僕の、次の使命は何か? 答えは、一つしかありませんでした。
僕が多くの失敗と時間をかけて手に入れた、この「知見」と「具体的な解決策」を、分かち合うこと。 そして、かつての僕のように、ADHDという自分の特性が分からずに、暗闇の中で一人で悩み続けている、多くの人々へ、届けること。
このプロジェクト「凸凹ADHD」は、僕自身の体と心で検証してきた、ADHDという特性を持つ人間の、一つの「実践報告」であり、あなたへ送る「手紙」なのです。
僕が何年もかけて、多くの痛みを伴いながら学んできたこと。 「衝動性」というエンジンを、どうすれば乗りこなせるのか。 「先延ばし」という悪い癖を、どうすれば力に変えられるのか。 「常識のなさ」という特徴を、どうすれば武器にできるのか。
そんな全てを伝えたい。僕のように、遠回りをしてほしくないから。
僕の再生の物語は、これで、一つの区切りを迎えます。 しかし、これは、僕の人生の終わりではありません。むしろ、ここからが、僕の「第二の人生」の始まりなのだと感じています。 発信者となり、自分のADHDに関わる経験を、誰かのために役立てる人生へ。
僕の「凸凹」な経験が、誰かの「凸凹」な未来を照らす、一つの「道しるべ」になること。 それこそが、僕がこの全ての経験を通して見つけ出した、新しい「生きる意味」なのです。
6部作にわたる、長い手紙に付き合ってくれて、本当にありがとうございました。
【ADHD離婚からの再生】シリーズの最初の記事はこちら
【ADHD離婚からの再生】シリーズ
①ADHDの禁酒と禁煙
②禁酒後の新しい世界
③「動」と「静」で脳を整える
④運動は「最高の処方箋」
⑤習慣化できますか?
⑥「失敗だらけの過去」の意味