凸凹ADHD

 

習慣化できますか?【ADHD離婚からの再生⑤】

 

かつての僕は、自分の「意志の弱さ」を、はっきりと自覚していました。

「よし、明日から毎朝走るぞ!」 「この習慣を、絶対に続けるんだ!」
そう決意しても、三日と続かない。

「決めたことを、なぜ自分は実行できないんだろう」「どうすれば、物事を続けられる人間になれるんだろう」と、いつも考えていました。

はじめまして、「凸凹ADHD」のデコさんです。 これは、僕が長年の「継続できない」という悩みから解放された、ある休日の、ささやかな「発見」についての物語です。

「続ける意思」なくして始まった、高尾山登山
その「発見」は、全くの偶然から生まれました。 高尾山自体の美しさに魅かれていた僕は、「誰か一緒に高尾山でも登ってみませんか?」というFacebokへの呼びかけから始まりました。久しぶりに会う友人と、軽いノリで始まったハイキング。そこには、「これを毎月の習慣にしよう」などという固い決意は、誰の中にもありませんでした。

僕らはただ、おしゃべりをしながら山道を登り、山頂で景色を眺め、下山後の銭湯で汗を流す。その一日を、心から楽しんでいました。 そして、その帰り道、誰かがこう言ったのです。

「楽しかったよな。また来月も登る?」 「いいね!来月なら、第3土曜あたりどう?」

その場の楽しい雰囲気のまま、僕らは、いとも簡単に、次の約束を取り付けました。その翌月も、僕らは高尾山に登りました。そして、その次の月も。
三度目の登山を終えた時、僕は、ある事実に気づいて、愕然としました。 「待てよ…。俺、三ヶ月も、月一で山に登るという、しんどい習慣が続いているじゃないか」と。

一人では、ランニングシューズを買っても、三日と続かなかった僕が。 なぜ、高尾山登山は続いているんだろう?

その答えは、あまりにもシンプルでした。

「友達と、約束しているから」
ただ、それだけだったのです。

人生を変えるブレークスルー
この発見は、僕にとって、人生を変えるブレークスルーでした。 僕が長年、自分の「意志の力」で乗り越えようとしてきた壁は、そもそも、乗り越える必要などなかったのです。

ADHDの脳が持つ「実行機能の弱さ」、つまり、自分の中から「やる気」を生み出し、行動を継続させる力の弱さ。 これを、「仲間との約束」という、シンプルで強力な「外部の力」に、任せてしまえばよかったのです。

友人との約束は、僕にとって、最高の「外部マネージャー」となってくれました。「毎月第〇土曜日」という、動かせない予定をセットしてくれる。

「友人との楽しい会話」や「下山後の銭湯」という、明確なご褒美を提示してくれる。

「彼らを待たせている」という事実が、ベッドから這い出るための、最も強力な引き金になる。

「巻き込む側」への転身
この「友達とやれば、続けられる」という成功法則を発見して以来、僕の行動は一変しました。僕は、自分がやりたいことを見つけるたびに、積極的に友人たちを「巻き込む」ようになったのです。 「皇居ラン」を習慣にした時もそうでした。 そして今では、「ダイエット」すら、仲間と一緒です。

月末になると、グループでお互いの体重を報告し合う。その「適度な強制力」と「連帯感」が、一人では決して続かない挑戦を、可能にしてくれています。

いつしか僕は、物事を「継続できない自分」から、仲間と共に、新しい習慣を「先導していく自分」へと、変わっていました。

もし、あなたが「一人で頑張ること」に限界を感じているのなら。 それは、あなたが弱いからではありません。ただ、戦略を間違えているだけなのです。意志の力で自分を律しようとするのは、もうやめにしましょう。

その代わりに、あなたの周りの大切な人たちを、あなたの挑戦に巻き込んでいく。 ダイエットも、勉強も、新しい挑戦も。「チーム」として挑んでいく。

その「巻き込み力」こそが、ADHDの僕らが持つ、最も人間的で、最もパワフルな才能なのかもしれません。

【ADHD離婚からの再生】シリーズの最初の記事はこちら

【ADHD離婚からの再生】シリーズ
①ADHDの禁酒と禁煙
②禁酒後の新しい世界
③「動」と「静」で脳を整える
④運動は「最高の処方箋」
⑤習慣化できますか?
⑥「失敗だらけの過去」の意味

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