凸凹ADHD

 

ドーパミンと休息
【ADHDとドーパミン⑤】

 

「何かしなきゃ」
「じっとしていると、落ち着かない」

ADHDの脳は常に何かを求めています。 新しい刺激。面白い情報。ワクワクする体験。 運動や、創造、人との繋がりといった「良いドーパミン」で、自分を満たそうと努力する。

しかし、その「努力」にさえ疲れ果ててしまうことがあります。 起きている間、常に何かを「している」状態。

はじめまして、「凸凹ADHD」のデコさんです。 今日は、僕らが、ドーパミンとうまく付き合っていくための、見過ごされがちな「休息」ついて、お話しします。

前々回の記事で、「悪いドーパミン」を「良いドーパミン」で、置き換える方法を学びました。 しかし、ここで、僕らは一つの新しい「罠」に、ハマることに注意する必要があります。

それは、「良いドーパミン」にハマりすぎてしまうことです。ADHDのドーパミンに飢えた脳は、一度、その「快感」を知ってしまうと、今度は、それを過剰に求めてしまう。 例えば、運動をやりすぎて体を壊してしまう。 仕事の「達成感」に、取り憑かれワーカホリックになる。 スマホアプリの「記録」にこだわりすぎて、それが、新しい「ストレス」になる。

どんなに「良い」とされるドーパミンでも、それが、僕らの普段の生活に、支障をきたすようでは本末転倒です。 脳は、常に「興奮」状態。 交感神経は張り詰め、心がすり減っていく。 そんな、悪循環に、陥ってしまうのを防がなくてはいけません。

では、どうすればいいのでしょうか。 僕らがすべきだったこと。 それは、ドーパミンを「足す」ことでは、ありませんでした。 それは、勇気を持って、「引く」ことだったのです。

ADHDの脳には、定期的な「刺激の断食」が必要と言われています。常に、走り続けている「エンジン」を、一度、完全に停止させクールダウンさせる時間。 それこそが、麻痺してしまった「ドーパミン耐性」を、リセットし、脳を、根本から「回復」させる方法なのです。

しかし、ADHDの人にとって、「何もしない」ことはそれ自体が苦痛です。 だから、「何もしない」ための、「静けさを得る技術」を学ぶ必要があります。 それは、「興奮」ではなく、「安心」や「静けさ」を脳に与える、全く新しいドーパミンの出し方です。

1. 「運動」と「休息」を、ワンセットにする
僕が最もお勧めしたい方法がこれです。 運動(良いドーパミン)をして、すぐに、次の「興奮」へと向かのではなく、運動の後に強制的に「静けさの時間」を組み込むのです。 例えば、ジムで、激しく体を動かしたその足で、 そのまま銭湯やサウナに直行する。 一人、静かに、湯船に浸かり、頭の中を空っぽにする。 この「動」と「静」の、完璧なセットが、脳を、最高のバランスに整えてくれます。 ヨガで、自分の体と深く向き合うのも、素晴らしい方法です。僕は登山やランニングの後はいつもお風呂とサウナがセットです。

2. スマホを置き去りにする
スマホを家に置いて、近所の公園を歩いてみませんか。 風が葉を揺らす音。 鳥のさえずり。 それらの、「予測不可能」で、しかし、「穏やかな」刺激は、僕らの脳を深くリラックスさせてくれます。ランニングの時は、スマホはロッカーの中、登山ではだいたいスマホの電波は届きません。お風呂やサウナも必然的にデジタルデトックスの時間になりますね。

3. ボーっとする時間を作る
これもオススメなんですが。カフェで、注文したコーヒーが運ばれてくるまでの5分間。 その時間をスマホで埋めない。 ただ、ぼーっと、窓の外を、眺めてみる。 その「退屈」とも思える「空白の時間」こそが、疲れ果てた脳にとって、最高の「休息」になるのです。何も考えずに、ボーっとする時間をあえて作ってみてください。これがほぼ瞑想と同じなんです。

今日から始めるべきこと。 それは、「刺激を、減らす勇気」を持つことです。常に、何かを足し算し続ける生き方をやめてみる。 その静かな「空白」の時間こそが、次の「集中」と、新しい「創造」のエネルギーを、育んでくれるはずです。

【ADHDとドーパミン】シリーズの最初の記事はこちら

【ADHDとドーパミン】シリーズはこちら
①ADHDの脳の「支配者」
②短期的な快楽に飲み込まれる
③運動という名の「脳のお薬」
④「社会的ドーパミン」を得よう!
⑤ドーパミンと休息
⑥ドーパミンデトックス
⑦ドーパミン中毒と隠れた原因
⑧最終的なドーパミンとの付き合い方

【ADHD離婚からの再生】シリーズ
※過去のシリーズですがドーパミンに深く関係しています。
①ADHDの禁酒と禁煙
②禁酒後の新しい世界
③「動」と「静」で脳を整える
④運動は「最高の処方箋」
⑤習慣化できますか?
⑥「失敗だらけの過去」の意味

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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