凸凹ADHD

 

ADHDだから仕方ないじゃないか
【ADHDと結婚③】

「どうして、分かってくれないんだ?」

離婚する前のかつての僕は、心のどこかでそう思っていました。 僕の言っていることは、論理的で正しいはずなのに。 なぜ、元妻は、いつもそんなに悲しそうな顔をするんだろうと。 そして、僕は自分の「正しさ」を盾にして、彼女がどれほど傷ついているか、その本当の「痛み」から目をそらしていたのかもしれません。

はじめまして、「凸凹ADHD」のデコさんです。 今日は、僕らADHD当事者が、最高のパートナーシップを築くために、何よりも先に、果たすべき、たった一つの、しかし最も重要な「責任」についてお話しします。

ADHDの特性が、二人の間にすれ違いを生む時。 僕らは、ついパートナーに期待してしまいます。
「僕の特性を理解してほしい」
「僕の不器用さを受け入れてほしい」と。

しかし、ADHDの僕らは、ここで一つの致命的な「勘違い」をしています。 パートナーはADHDの「専門家」ではありません。 彼女はあなたの「カウンセラー」でも「母親」でもない。 彼女は、ただ、あなたと愛し合いたい一人の「人間」なのです。

彼女に、僕らの複雑な脳の「取扱説明書」を、読み解き、使いこなすことを求めるのはあまりにも酷な話です。

ADHDの僕らがすべきだったこと。では、どうすればよかったのでしょうか。 その答えはシンプルです。

僕らがすべきだったこと。 それは、自分自身の脳の「専門家」に僕ら自身がなることです。

ADHDであることは、僕らのせいではありません。 しかし、その特性と、どう向き合い、どう乗りこなしていくか。 その「責任」は、僕ら自身にあります。

  • 自分の「地雷」の場所を、知る責任。
    「自分は、どんな時に、感情が爆発しやすいのか」
    「どんな言葉を、言われると、深く傷つくのか」
    その、自分だけの「地雷原の地図」を、誰よりも、詳しく知っておく。

  • 自分の「弱さ」を、補う「仕組み」を作る責任。
    忘れっぽいなら、リマインダーアプリを、使いこなす。 計画が苦手なら、AIという、最高の「相棒」に、相談する。 自分の「脳」に、全てを任せるのではなく、外部の「道具」を、徹底的に、使いこなす。

  • そして、自分の「トリセツ」を、優しく、相手に、手渡す責任。
    「ごめん、僕の脳は、口約束を、すぐに忘れちゃうんだ。だから、大事なことは、LINEで、一言、送ってくれると本当に助かる」 ただ、「理解してくれ」と求めるのではなく、相手がどうすれば僕らを助けやすいか。その具体的な「方法」を自分から提示するのです。

僕が離婚の淵で気づけませんでした。自分がADHDであることも、自分の性格や特徴が相手を苛立ち、悲しませていたことを。そして、あの頃の僕は、この「責任」から、完全に、逃げていました。 自分の「弱さ」と向き合うことをせず、ただ、元妻に「理解」だけを求めていた。 それは、あまりにも、身勝手で、そして未熟だったのだと、今なら分かります。

ADHDの特性を、学ぶこと。 それは、決して「言い訳」の材料を探すためではありません。 それは、もう二度と自分の「無知」が原因で、周りの人を傷つけないために、ADHDの僕らが身につけるべき「知性」なのです。

今日から始めるべきこと。 それは、パートナーに、変わることを求めることではありません。 まず、自分自身が、自分の最高の「理解者」であり、「専門家」になると固く決意することです。

自分の「脳」の、手綱をしっかりと握ることができた時、パートナーと、対等に、そして、尊敬を持って向き合える、最高の「チームメイト」になっているはずですから。

【ADHDと結婚】シリーズの最初の記事はこちら

【ADHDと結婚シリーズ】
①結婚できますか?
②なぜ些細なことから喧嘩になる?
③ADHDだから仕方ないじゃないか
④ありがとう。でも、僕は子供じゃない。
⑤こんな人とは結婚しないで
⑥「察してちゃん」という名のサイレントテロリスト
⑦ADHDはどんな人と結婚する?

【ADHD離婚シリーズ】過去の自分と向き合った離婚シリーズはこちら
①一つのことにしか意識を向けられない不器用な真実
②「寄り添ってほしい」と言われた僕が、途方に暮れるしかなかった理由
③僕の「得意なこと」は、なぜ努力として認められなかったのか。
④「それくらい自分で考えて」が、僕には一番難しい呪文だった。
⑤なぜ僕は「名もなき家事」が全く見えなかったのか。
⑥なぜ僕らは、「二人でいる時」が一番孤独だったのか。
⑦妻のイライラから「逃げる」以外の選択肢を、なぜ持てなかったのか。
⑧なぜ僕は、妻からの「パシリありがとう」に喜んでしまったのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その他のおすすめ記事

ついに完成。パートナーの「トリセツ」 【ADHD人間関係⑩】 はじめまして、「凸凹ADHD」のデコさんです‥ 続きを読む
「あ、ありがとう!」 パートナーが、僕のために、何かをしてくれた時。 僕らの心の中には、間違いなく、感謝の気‥ 続きを読む
なぜ彼は、私の話を「聞いていない」のか。 【ADHDパートナー①】 「それでね、今日、会社でこんなことがあ‥ 続きを読む