
ADHDが本当に欲しい言葉~信頼の言葉~
【ADHDに伝える①】
「もう、10回は言ったはずなのに」
「どうして、こんなに簡単なことが、伝わらないんだろう」
ADHDのパートナーの方は、これまで、何度もこの同じ壁にぶつかってきたかもしれません。 必死に、「想い」を伝えているのに、彼の心には、まるで届いていない。
はじめまして、「凸凹ADHD」のデコさんです。先日まで、ADHD人間関係シリーズにてADHDの人とそのパートナーがトリセツを作り合って、お互いの理解を深めるための方法を伝えてきました。 今日からは、ADHDのパートナーのための新しいシリーズを始めます。
このシリーズでは、僕が一人のADHD当事者として、「こう言ってもらえると、本当は、すごく嬉しい」という、ADHDの「心の声」をパートナーの方にお伝えするシリーズです。
なぜ、ADHDパートナーの「お願い」は、ADHD当事者に「届かない」のか。まず、シンプルにADHDの人の脳は、「正しい情報」や「論理的な指示」を、「退屈」で、「集中する価値のないもの」として、認識されてしまうことが多々あります。「これを、こうしなさい」という、無機質な「指示」には、なかなか、エネルギー(ドーパミン)を供給してくれません。
その代わりに、ADHDの脳が、何よりも、敏感に反応する情報。 それが、「僕を、信頼してくれている」という、温かい「感情」です。「この、重要な役割を、あなたに任せたい」という、信頼に満ちた「パス」には、喜んで、全てのエネルギーを、注ぎ込んでくれるのです。
なので、パートナーの方には是非「指示」を、「信頼のパス」に、書き換えてもらいたいと思います。
大切なのは、ADHDパートナーのあなたの言葉を、ADHDの彼の脳が、喜んで受信してくれる「言語」へと、翻訳してあげることです。 それは、「指示」を、「彼を、ヒーローにするための、信頼のパス」に、書き換える、という、ほんの少しの、しかし、魔法のような技術です。
例えば、あなたが、彼に「ゴミ出し」をお願いしたい時。
これまでの伝え方:
「ねえ、ゴミ出し、忘れてるよ。捨ててきてくれない?」
(→ADHD脳は、これを「退屈なタスク」と「批判」として受信し、行動を、拒否します)
ADHDが、本当に「言ってほしい」言葉:
ステップ①:まず、「二人」の課題として伝える
「ねえ、そろそろ、ゴミの日だね。私たちで、片付けちゃおうか」
ステップ②:次に、彼が、すぐにできる「具体的な選択肢」を与える
「私が、ゴミ袋をまとめるから、持って行ってくれるとすごく助かる。今から持って行ってくれる?」
ステップ③:そして、感謝で、締めくくる
「ありがとう!おかげで、一瞬で終わったね!」
この伝え方は、ADHDの脳を、確実にポジティブな方向へと動かします。 なぜなら、これはADHDにとって、「退屈な作業」ではなく、「パートナーと、協力して共通の課題をクリアする」という、心地よい「チームプレイ」として認識されるからです。
ADHDの彼は、指示をしてもなかなか動いてくれないことが多いとは思いますが、この方法を意識して、ひとたび共通の課題を一緒にクリアするという意識で、掃除なり、料理なりを取り組むことができたならば彼は驚くほど違った動きをするはずです。
ADHDのパートナーの人が、今日から、始めるべきこと。 それは、彼を「管理」することではありません。 これをしようとして逆効果になっていることが多いんだろうなと感じています。やるべきことは、彼を最高の「パートナー」として信頼し頼ることです。ミスや失敗を繰り返してきたADHDの人は、頼りがいのある人間になることに飢えています。
ADHDのパートナーの人は、ADHDの彼の承認欲求を彼のモチベーションに変えて彼の行動を促してみてください。私はちゃんとできる人、ADHDの彼はちゃんとできない人という前提で指示しちゃ絶対ダメです。そういう時はめっちゃムカつきますし、それでは悪い方向にしか進みません。
【ADHDに伝える】シリーズ
①ADHDが本当に欲しい言葉~信頼の言葉~
②常識や普通と比べるのはやめて
③ADHDのエンジンの掛け方!よーいドン!
④「また」「いつも」「どうせ」って言わないで
⑤忘れた理由?それは聞かないで
以前にも、ADHDパートナーの方に向けてのシリーズを書いています。
ADHDパートナーの人は是非こちらも読んでみてください~^^
①なぜ彼は、私の話を「聞いていない」のか。
②なぜ彼の「ごめん」は火に油を注ぐのか
③なぜ彼は、趣味に没頭すると私のことを忘れてしまうのか
④なぜ彼はあなたの「何気ない一言」でキレるのか。
⑤彼との関係に絶望しているあなたへ
⑥彼を「変える」のを諦めた日に全てが始まった
⑦「カサンドラ症候群」からあなたを救いたい