凸凹ADHD

 

パートナーにも指摘された「ごめん」
【ADHD人間関係⑧】

 

「…ごめん」

ADHDの僕らは、これまで、この言葉を、何度口にしてきただろう。 そして、そのたびに、相手の、悲しそうな、あるいは諦めたような顔を、何度見てきただろうか。

「本当に、そう思ってる?」

そう問い返され、僕らは混乱する。 「ごめん」と、謝ったじゃないか。 なぜ、許してもらえないんだと。あの居たたまれない気持ち。

はじめまして、「凸凹ADHD」のデコさんです。 今日は、僕が、先日の彼女との会話の中で学んだ「気づき」について、お話しします。

彼女は彼女自身の「トリセツ」を少し教えてくれました。 その中で、僕が衝撃を受けたのは、この言葉でした。

「デコさんの『ごめん』は、時々冷たく聞こえる」
「まるで、反省していないのに、ただ、その場を、終わらせたいだけのように、感じることがある」と。

僕の脳は、いつものように、反論を探し始めます。
「えっ!いつのごめん?」
「そんなつもりじゃないけど!」と。

しかし、僕は、前々回の記事で、自分自身と、交わした約束を、思い出しました。 「解決策を探さない。ただ、聞く」

そして、彼女の話を、聞き続ける中で、僕は、ようやく理解したのです。 僕の「ごめん」には、相手が求めている、たった一つの、しかし、最も重要なものが欠けていたことに。

僕らが、何かを失敗し、相手を傷つけてしまった時。 相手が、僕らに、求めているのは、基本的に「解決策」ではありません。 ましてや、その失敗に至った、僕らの、論理的で、完璧な「状況説明」でもありません。

相手が、本当に求めているのは、たった一つ。 「傷ついた気持ちを、分かってほしい」 という、切実な願いです。

しかし、僕らの脳は、問題が起きると、自動的に「探偵モード」に入ってしまう。 「なぜ、そうなったのか」という、事実のパズルを解くことに、夢中になり、目の前で、傷ついている、彼女の「感情」そのものが、僕らの視野から、消えてしまっていたのです。

ADHDの人にとって「ごめん」という言葉は、時に、その場の苦しい状況から抜け出すための、手っ取り早い「リセットボタン」になってしまうことがあります。

  • 衝動的な「ごめん」
    気まずい沈黙に耐えられず、反射的に言ってしまう。相手にとっては、反省が感じられず、ただ話を終わらせたいだけのように聞こえてしまいます。

  • 「でも」が続く「ごめん」
    「ごめん、でも、あなたにも原因が…」と言ってしまい、謝罪ではなく、相手への非難になってしまう。

  • 自己嫌悪の「ごめん」
    「ごめん、僕なんて、いない方がいいんだ…」と、相手を慰めるどころか、逆に相手に気を遣わせてしまう。

これらはすべて、僕らが自分の感情(気まずさ、自己正当化、自己嫌悪)を処理することを優先してしまっている状態です。 相手が本当に求めているのは、僕らの自己弁護ではありません。「傷ついた自分の気持ちを、理解してほしい」という、ただそれだけなのです。

では、どうすればいいのか。 僕らが、本当に、仲直りしたいと願うなら。 「ごめん」という、たった一言の前に、相手の「感情」を、代弁するという、ワンクッションを、置いてみることです。これはこのシリーズでの以前の記事にも書きました。クッション言葉と呼ばれるものです。

「僕の、あの言い方、すごく、悲しかったよね。ごめん」
「約束を忘れてて、がっかりさせちゃったと思う。本当に、ごめんね」
「一人で、不安にさせてしまったんだね。申し訳ない」

この、たった一言の「クッション言葉」が、全てを変えます。 それは、あなたの言葉に、心が宿る瞬間です。 相手は、「この人は、私の痛みを、本当に、理解しようとしてくれている」と、安心し、心の扉を、もう一度開いてくれるのです。

僕らが、学ぶべきだったのは、「謝罪の言葉」ではありませんでした。 それは、相手の「感情」に、寄り添う方法だったのです。そしてそれを伝えるための、「謝罪」の技術だったのです。

離婚の際に、元妻から言われた、「寄り添ってくれなかった」という、あの言葉。 その本当の意味を、僕はようやく理解し始めています。

ケンカは関係の終わりではありません。 お互いの「トリセツ」を、もう一度、開き直しそこに新しいページを書き加えていくための、最高の機会なのですから。数日前に学んだクッション言葉、それにマジすごいなって感動した自分は、それがやっぱり出来ていなかったという証明をもらいました。今回、クッション言葉を学んだけれど、すぐに使えるかと言うとそんなこともないと思います。次何か謝る機会に実際にクッション言葉が出せたらなと思います。少しづつでも、取り入れて行くことでより良い未来に近づくのかなと思います。

【ADHD人間関係シリーズ】
①僕らの「当たり前」は相手の「当たり前」ではない
②「なぜ」ではなく「何」で話そう
③クッション言葉はマジで優秀!
④自分の「トリセツ」をパートナーに渡そう
⑤大切なパートナーの「トリセツ」も作ろう。
⑥パートナーの「本音」を聞くのが怖い
⑦彼女とのトリセツ会議
⑧パートナーにも指摘された「ごめん」
⑨「ありがとう」に心を乗せる方法
⑩ついに完成。パートナーの「トリセツ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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