凸凹ADHD

 

彼女とのトリセツ会議
【ADHD人間関係⑦】

 

前回の記事で、僕は一つの約束をしました。
今週末、パートナーに「あなたのトリセツも教えて?」と聞いてみると。
正直に言うと聞くのは少し怖かったです。 自分のまだ知らない一面を、突きつけられるかもしれないと思いました。

はじめまして、「凸凹ADHD」のデコさんです。 今日は、僕が人生においてとっても価値のある「対話」にどう挑んだのか。 その、ありのままの記録をここに記そうと思います。

日曜の夕方。 僕らは、奥多摩への旅行からの帰りの電車に揺られていました。 車内には、ほとんど人もいませんでした。

窓の外の、美しい緑を眺めながら、僕は自分のスマホを彼女に手渡しました。 そこには、僕がこのnoteに書いた僕自身の「トリセツ」が表示されています。僕はまず、自分のトリセツ読んでもらうことにしました。

「どう思う?合ってるところとか、いや、それは違うよ、ってところとか、教えてほしい」

彼女は、少しだけ、戸惑いながらも、僕の書いた不器用な「トリセツ」を、一言一言、丁寧に読んでくれました。 そして、こう言ったのです。 「うん。大体、合ってると思うよ」と。

彼女は、特に、僕の「苦手なこと」のリストに、深く頷いていました。
「話の途中で、つい割り込んでしまうこと、あるよね。電話の時とか、多いかも。私が話しているのに、気づいたら、デコさんが、全然違う話をしてる時、あるもんね」
「まさしく会話泥棒、だね」と僕が言うと彼女は笑いました。
「議論になると、正論で私を追い詰めるのもそうだね。家族でもないのに、なんで、そんなにきつい言い方をするんだろうって思ったことあるよ」
その言葉は、僕の胸に突き刺さりました。
僕の脳は探偵モードになり、「いつの時に?」という言葉が口から出そうになりましたが、最初にただ聞くと決めていたので、口には出さずにただただ聞くことに徹することができました。
僕が記事の中で書いた「正論のナイフを振り回し始めたら、『タイムアウト!まず、ハグしよう』って、言ってほしい」という提案。
それについて、彼女はこう言いました。
「…でも、それって、難しいよ。 こっちは、バリバリに、正論で、怒られてる、その真っ最中に、『ハグしよう』なんて、言えるかな。 『今、喋ってるんやけど!』って、余計に、怒らせちゃうんじゃないかな」
その、あまりにも、現実的で、そして誠実な「反論」。 僕が、一人で頭の中で考えていた「理想の解決策」が独りよがりなものであったかということに気づかせてくれました。そして、これについては、新しい解決策として言葉ではなく、「ハンドサイン」を決めて、「ちょっと、タイムアウトしよう」という合図を送ることにしました。

長い対話の後。 彼女は、こう言いました。 「私のトリセツは、今度、ちゃんと、文章にして、書き出してみたいな。それを、また、デコさんに読んでもらって、話がしたい」と。その方がちゃんと伝えられると思うからと。

なので、また彼女のトリセツを載せるというのは次回以降に持ち越しとなりました。今回自分のトリセツをパートナーと共有してみて、自分の弱さや苦手なことを話してみることは勇気がいることだけれど、それを見せ合えるというのは相手への信頼にもつながると思いました。自分の弱さや苦手なことをそのままにしておくのでは無くて、相手と共有できることに意味があると思いました。

僕の「トリセツ」と、彼女の「トリセツ」をそれぞれが作って、交換してみることはお互いのことをより良くしるためにプラスになることは間違いありません。この対話が、僕らの関係を、明日、劇的に変えることは、ないかもしれません。 僕は、また、彼女の話を、遮ってしまうかもしれない。 彼女は、また、僕の言葉に、傷つくかもしれない。
だけれども、今回お互いの「トリセツ」を共有できたことは大きな一歩かなと思います。お互いの弱さや弱点をシェアできること。これを定期的にすることができたなら、きっとそれは大きな信頼につながるでしょうし、仮に何か悪いことがあったとしても改善することができるという明日への希望に繋がると思いました。その「信頼感」と「希望」が、 僕らをどんな困難もり越えていける、最高の「パートナー」へと導いてくれるはずです。


【ADHD人間関係シリーズ】
①僕らの「当たり前」は相手の「当たり前」ではない
②「なぜ」ではなく「何」で話そう
③クッション言葉はマジで優秀!
④自分の「トリセツ」をパートナーに渡そう
⑤大切なパートナーの「トリセツ」も作ろう。
⑥パートナーの「本音」を聞くのが怖い
⑦彼女とのトリセツ会議
⑧パートナーにも指摘された「ごめん」
⑨「ありがとう」に心を乗せる方法
⑩ついに完成。パートナーの「トリセツ」

※下記は彼女とした「トリセツ会議」の要約です。
1. 「僕の苦手なこと」への、彼女からのフィードバック

  • 強く同意した点:

    • 口約束(特に、重要でない予定の確認など)を、悪気なく忘れること。

    • 会話の途中で、つい割り込んでしまうこと(特に、電話で多い)。

    • 議論になると、正論で相手を論破しようとすること。彼女は、「正論だけど、どうしてそんなにきつい言い方をするんだろう」と感じることがある、と指摘。

    • 興味のないこと(部屋の掃除など)を、ギリギリまで後回しにする癖。

    • 常識を疑い、「普通って何?」と、問いかける傾向。

  • 少し違うと感じた点:

    • 「安請け合い」は、あまりしていない、と感じている。

2. 「僕の得意なこと」への、彼女からのフィードバック

  • 強く同意した点:

    • 問題の本質を見抜き、解決策を見つけること。

    • ハプニングを楽しむ楽観性(ただし、内容による)。

    • 初対面の人とも、物怖じせずに話せること。

    • 場を明るくするエネルギー。

    • 常識にとらわれず、新しいことを考える独創性。

  • 少し違うと感じた点:

    • 「共感力」について: 彼女は、デコさんが理不尽なことに対して怒るのは、「共感」というよりも、「間違っていること」が許せない、強い「正義感」から来ているのではないかと分析。

3. 「こうしてくれると嬉しい」への、二人でのブレインストーミング

  • 「正論のナイフを振り回し始めたら、『タイムアウト!まず、ハグしよう』と言ってほしい」という提案に対して:

    • 彼女の懸念: 「そんな、怒っている真っ最中に、『ハグしよう』なんて、言える雰囲気じゃない。余計に、怒らせてしまうかも」

    • 二人が見つけた、新しい解決策: 言葉ではなく、二人だけの「ハンドサイン」を決めて、「ちょっと、タイムアウトしよう」という合図を送る。

  • 「先延ばしにしていたら、『一緒にやろう』と誘ってほしい」という提案に対して:

    • 根本的な問題の発見: そもそも、二人の「汚い」と感じる感覚の基準が、全く違う。デコさんは、彼女が「汚い」と感じるレベルを、そもそも、認識できていない。

    • 新しい解決策: 「汚いから、片付けて」ではなく、もし、一緒に住むなら、「学校の掃除の時間のように、毎日、決まった15分間を、二人の『お片付けタイム』にする」というルールを決めればできる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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