
完璧な計画はゴミ箱に捨ててみた
【ADHD目標と計画④】
はじめまして、「凸凹ADHD」のデコさんです。前回の記事で、僕らを縛り付けていた「完璧主義」という考え方についてお話ししました。「失敗」を「フィードバック」と呼び変えるだけで、世界は少しだけ、優しくなります。
「なるほど、失敗してもいいのか」 「計画が崩れても、自分を責めなくていいんだ」
そう頭では理解できた。でも、次の日、僕らはまた途方に暮れるんです。 「じゃあ、一体、どんな計画を立てればいいんだ?」 「そもそも、計画を立てること自体が、もう怖い……」
分かります。一度、計画がうまくいかない経験をすると、また同じように計画を立てるのが怖くなりますよね。
だから今日は、もう従来の「計画」を立てるのをやめてみませんか?という提案です。 僕らに必要だったのは、一度崩れたら終わりの、脆い「計画書」ではありませんでした。それは、何度つまずいても、エネルギーが尽きかけても、いつでも基本に立ち返れる、自分に合った「仕組み」だったのです。
そもそも、僕らADHD当事者にとって、上から下にズラッと並んだ「やるべきことリスト(ToDoリスト)」はワクワクする希望のリストではありません。あれは、いわばやらなければいけない「ストレス発生リスト」です。
チェックボックスが一つでも埋まらないと、「ああ、今日もダメだった」という証拠になってしまう。僕らの脳は、達成できた9個のタスクより、達成できなかったたった1個のタスクに、強烈に引きずられてしまうのです。
そのリストは、僕らのエネルギーレベルや、その日の体調、突発的な気分の変化なんて、全く考慮してくれません。だから、僕らはリストに裏切られ続ける。
もう、そんな一方的な関係は、終わりにしましょう。
僕らがまず作るべきは、その日のコンディションに合わせて選べるタスクの一覧です。 ポイントは、「今の自分のエネルギーで、どれならできそうかな?」という視点でタスクを選ぶこと。
このアプローチの最大の利点は、計画が崩れるという「失敗」そのものが起こりにくくなることです。従来の計画では「計画を守ること」が目的になりがちでしたが、この方法では「どんなに小さくても、とにかく前に進むこと」が目的になります。
<タスクメニューの具体例>
スターターメニュー(最初の一歩): どうしてもやる気が出ない時。
仕事/勉強: PCの電源を入れる。関連するファイルを1つだけ開く。
掃除/片付け: ゴミ袋を1枚手に取る。コップをキッチンに運ぶ。
運動: 運動着に着替える。
創作活動: ノートやアプリを開く。
低エネルギーな時(気力がない時): 簡単にできるタスク。
仕事/勉強: 簡単なメールを1通だけ返す。関連資料を5分だけ眺める。
掃除/片付け: テーブルの上だけ拭く。郵便物をチェックする。
運動: 5分だけ散歩する。ストレッチをする。
創作活動: アイデアを1つだけメモする。好きな作品を眺める。
普通のエネルギーの時(いつも通り): 日常的なタスク。
仕事/勉強: タスクを1時間進める。会議の準備をする。
掃除/片付け: 部屋に掃除機をかける。洗濯物を1回まわす。
運動: 30分のウォーキングやジョギング。
創作活動: 構成を考える。作業を30分進める。
高エネルギーな時(集中力がある時): 集中力が必要なメインのタスク。
仕事/勉強: 企画書やレポートを完成させる。集中して2時間勉強する。
掃除/片付け: キッチンやお風呂場など、場所を決めて徹底的に掃除する。
運動: 1時間以上のトレーニングやスポーツ。
創作活動: 作品を一気に完成まで持っていく。
朝起きた時、まず自分に問いかけるのは「今日は、どれをやるべきか?」ではありません。 「今日の僕のエネルギー残量は、どのくらいだろう?」です。 そして、その日のエネルギーレベルに合ったメニューから、「これならできそう」というものを、一つだけ選ぶ。
特に、ADHDの僕らの脳にとって一番の壁は「始めること」です。だから、どうしても動けないと感じる日は、まず「スターターメニュー」から一つ選んでみてください。それさえできれば、今日の自分はもう花マルです。
意外と、その小さな一歩がきっかけで、「もうちょっとだけ、やってみるか」と次のメニューに進めることも多いのです。
僕らに必要なのは、自分を追い詰める完璧な計画ではなく、どんな自分でも受け入れてくれる、柔軟な「システム(仕組み)」です。
今日のエネルギーで、できることを、一つだけ。 その小さな一歩の積み重ねが、僕らを昨日より、ほんの少しだけ前に進めてくれます。
PS:
ちなみに、僕自身のタスクメニューはこんな感じです。
<凸凹ADHDデコさんのパーソナルタスクメニュー>
スターターメニュー:
Note記事: PCを開いて、Noteの編集画面を開くだけ。
凸凹ADHDシステム開発: 開発ツール(エディタ)を起動するだけ。
凸凹ADHD全般: アイデア帳を開く。
低エネルギーな時:
Note記事: 好きなADHDの人の記事を読む。記事のネタを1個書き出す。
凸凹ADHDシステム開発: 使ってみる。気になるデザインの修正をする。
凸凹ADHD全般: 関連するYoutubeや記事を見る。
普通のエネルギーの時:
Note記事: 記事を1本書き上げる。
凸凹ADHDシステム開発: 軽微なバグを修正する。開発タスクを整理する。
凸凹ADHD全般: 競合サービスをリサーチする。ブレインストーミングでアイデアを広げる。
高エネルギーな時:
Note記事: 記事を複数本一気に書き上げる。次のシリーズについて考える
凸凹ADHDシステム開発: 新機能の設計や、集中してコーディング。
凸凹ADHD全般: 新しいセッション・セミナーの内容を作成する。
僕らの歩みは、不器用でも寄り道だらけでも、自分に合ったやり方で、また一歩を踏み出せたという事実が少しづつ大きな自分を作ります。あなたにあったタスクメニューを作って、日々目標のために少しでも行動できますように^^
ADHD目標と計画シリーズ
①なぜ僕らの「壮大な目標」は気付けば消えてしまっているのか
②退屈な作業を魅力的な「プロジェクト」に変える方法
③ADHDの「完璧主義」は行動を止めてしまう
④完璧な計画はゴミ箱に捨ててみた
⑤でも、一人では難しい。じゃあ、相棒を見つけよう。
⑥あなたの「行動記録」は宝の山だよ
⑦タスク管理のその先、「なりたい自分」に近づく方法
⑧最強のシステムが「飽き」に負けるとき。僕らの最終戦略
⑨僕らの取り組みは、まだ始まったばかり