
ADHDの「完璧主義」は行動を止めてしまう
【ADHD目標と計画③】
完璧な計画を立てたはずだった。 一週間のスケジュール。やるべきことのリスト。 今度こそ、この通りに進めればうまくいくはずだった。
しかし、人生はいつも僕らの計画通りには進んでくれない。 予期せぬトラブル。突然の体調不良。 そして、何よりもADHDの僕らの気まぐれな「脳」。
たった一つ、計画が崩れただけで僕らの心は、簡単に折れてしまう。 「ああ、もう、全部ダメだ」 「僕は、やっぱり、何も続けられない、ダメな人間なんだ」と心折れるまでが早いんですよね。そしてやめてしまう。
その、自己嫌悪と絶望感。 僕らは、これまで何度その闇に飲み込まれてきたでしょうか。
はじめまして、「凸凹ADHD」のデコさんです。 今日はADHDの僕らが、このあまりにも脆い「計画」という名の砂の城と、どうすればうまく付き合っていけるのか。 そのための、新しい「生存戦略」についてお話しします。
僕らが計画通りに物事を進められないのは、決して「意志」が弱いからではありません。 僕らが、本当に向き合うべきだった、たった一つの「課題」。 それは、「完璧主義」という思考のパターンかもしれません。
ADHDではない多くの人の完璧主義が、高い目標を達成するためのアクセル」として機能するのに対し、僕らADHD当事者の完璧主義は、皮肉なことに、行動を止めてしまう「ブレーキ」として、機能してしまうことが非常に多いのです。
僕らは、心のどこかで、信じてしまっている。
「計画は、100%、守るべきものだ」
「一つでも、できなかったら、それは、完全な『失敗』だ」
と。
なぜそう信じてしまうのか。 それは、僕らの脳が、これまでの人生で身につけてしまった、一種の心の防衛本能」なのかもしれません。
僕らは、子供の頃から、数え切れないほどの「小さな失敗」を経験してきた。 「忘れ物」「遅刻」「ケアレスミス」。 そのたびに、周りから注意されたり、がっかりされたりした、痛みを伴う記憶が、僕らの脳には深く刻み込まれている。
だから、僕らの脳は「計画通りにできなかった」という出来事を、単なる「失敗」としてではなく、「君は、やっぱりダメな人間なんだ」という、人格全体への、致命的な「攻撃」として、受け取ってしまいがちです。
そして、僕らの脳は「完璧にできないくらいなら、最初からやらない方がマシだ」と、行動に強力な「ブレーキ」をかけてしまうのです。
では、どうすれば、この自分を縛り付ける思考から、自由になれるのでしょうか。 それは、「失敗」という言葉を「フィードバック」という言葉にリフレーミングすることでした。
計画が、崩れた時。 それを「失敗」として捉えるのではなく、僕の脳が、「この作戦は合っていないみたいだぞ」と、貴重な「フィードバック」を、僕に送ってくれているサインなんだと。
この、たった一つの「言葉の書き換え」が全てを変えます。 計画が崩れることは、「絶望」ではありません。 それは、次の作戦をもっと面白くするための、最高の「データ収集」に変わったのです。
ADHDの人は失敗をしたとき、大きなショックを受けがちです。特に周りから間違いや失敗を指摘された時に、必要以上に大きなショックを受けがちなんです。これはADHDの人の特徴なので、そんな場面に出会ったら少し距離を取ってこんな風に感じてみてください。
「あー、今結構大きなショック受けてるなー。でも確かこれはADHDの特性だったよな。やめよう。やめよう。」と。
「あー、全部やめたくなってるなー。でも確かこれはADHDの特性だったよな。やめよう。やめよう。」と。
大きなショックを受ける必要は無いんです。そもそもできなくて当然だし。たくさん失敗した方が良いぐらいに思うことが大事です。
もうADHDの僕らが、完璧な「計画」に自分を縛り付けるのは、やめにしましょう。 僕らに本当に必要なのは、完璧な計画表ではありませんでした。 僕らに、本当に必要だったのは、不完全な自分を、許し、愛し、そして、何度でも、立ち上がらせてくれる、優しい「言葉」だったのです。
僕らの旅は一直線ではありません。 それは、時に道に迷い寄り道をしながら進んでいく旅かと思います。この一貫性のない、しかし、愛おしい、あなただけの「旅」を、どうか誇りに思ってください。
ADHD目標と計画シリーズ
①なぜ僕らの「壮大な目標」は気付けば消えてしまっているのか
②退屈な作業を魅力的な「プロジェクト」に変える方法
③ADHDの「完璧主義」は行動を止めてしまう
④完璧な計画はゴミ箱に捨ててみた
⑤でも、一人では難しい。じゃあ、相棒を見つけよう。
⑥あなたの「行動記録」は宝の山だよ
⑦タスク管理のその先、「なりたい自分」に近づく方法
⑧最強のシステムが「飽き」に負けるとき。僕らの最終戦略
⑨僕らの取り組みは、まだ始まったばかり