凸凹ADHD

なぜ僕の「正しさ」は、いつも彼女を傷つけたのか
【無自覚ADHD①】

 

あの頃の僕は、心から信じていた。
「自分が、正しい」と。

いつだって、論理的だった。
いつだって、物事の本質を見抜いていた。
それなのに、なぜか、彼女はいつもイライラしていていた。
そして僕を、まるで怪物を見るような目で見つめていた。

「なんでわからないんだろう?」
僕は心の中で、そう呟いていた。

ただ、彼女の「間違っている部分」を、優しく教えてあげているだけなのに。彼女が、もっと楽に生きられるように、最高の「解決策」を、提示しているだけなのに。

そして、僕は、こんな結論にたどり着く。
「彼女は何かおかしい」「理解不能な人」なのだと。

はじめまして、「凸凹ADHD」のデコさんです。

今日から、ADHDの自覚がなかったあの頃の僕自身、自分はADHDかもしれないと思っているけれど確証がない方に向けて記事を書こうと思います。
これは、僕が愛する人さえも無自覚に傷つけてしまっていた、あの暗闇から、どうやって抜け出したのかを語る物語です。

あの頃の僕は、本気で、そう思っていました。
元妻の、感情的な部分。気分の浮き沈み。
それこそが、僕らの関係を、壊している元凶なのだ、と。

僕は、彼女を「助けたい」一心で、良かれと思って、彼女の「間違っている部分」を伝えていました。

しかし、今なら、分かります。
本当に、助けが必要だったのは彼女ではなかった。
僕の方だったのです。

ADHDの人の脳は、二人の間に問題が起きると、自動的に「問題解決モード」に入ります。子供の頃、夢中になった、パズルや、迷路のように。目の前にある、複雑な問題を、解き明かすことに、没頭してしまう。

しかし、僕が、必死に解こうとしていた、その「問題」は、根本的に間違っていました。

僕が、向き合うべきだったのは、「どちらが、論理的に正しいか」という、事実のパズルではなかった。

何よりも先に、向き合うべきだったのは、
目の前で、傷つき、苦しんでいる、彼女の「感情」そのものだったのです。

もし、あの頃の僕が、自分のADHDについて、知っていたとしたら。
僕は、全く違う「価値観」で、彼女に、接することができたはずです。

彼女が、涙を流した時。 僕は、「なぜ、泣いているんだ?論理的に、おかしいんじゃないか」と、彼女を「分析」するのではなく、 「悲しい思いをさせて、ごめんね」と、彼女の心に、寄り添うことができたかもしれない。

彼女が、不安を口にした時。 僕は、「その心配は、合理的では無いよね」と、彼女を「論破」するのではなく、 ただ、黙って、その背中をさすりながら、「大丈夫だよ。僕が、そばにいるから」と、伝えることができたかもしれない。

ADHDだと知ることは、僕にとって、ADHDだからしょうがないんだと言い訳を見つけることではありませんでした。ADHDであることからくる自分の考え方の癖を知り、それが相手にどのように伝わるのかを理解することで、より優しさのある対応ができるようになれるのです。

この記事は、決して、過去の自分を、責めるためのものではありません。
ADHDの自覚が無かった僕は、僕なりに、真摯に向き合おうとしていました。そして、誠実に愛そうとしていました。

僕は、それを誰よりも知っています。

ただ、知らなかった。
ADHDである自分の足りない部分を理解していなかった。
ただ、それだけのことなのです。

ADHDの人にとって、ADHDについて理解することは、自分を理解することに大きく役立ちます。それは、人生の攻略本を手に入れるようなものです。

ADHDについて共に学び、素晴らしい人生をつかみ取りましょう。

 

無自覚ADHDシリーズ

①なぜ僕の「正しさ」は、いつも彼女を傷つけたのか
②ADHDだと自覚することは人生の「攻略本」を手にすること
③僕自身がどのようにADHDの自覚を持つに至ったか
④ADHDの方へ人生の「攻略本」をお渡します。
⑤「またADHDが出たよ」と笑っていた僕がそれに向き合うまで

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