
「三日坊主」という絶望が、「リーダーシップ」に変わる日
【凸凹ADHD⑥】
部屋の隅で、ホコリをかぶっているギター。 最初の30ページだけ、マーカーが引かれている専門書。 「絶対に毎日更新するぞ!」と誓った、三日で更新が止まったブログ。
ADHDの僕らの人生はそんな無数の「中途半端」な残骸で、埋め尽くされているかもしれません。 そしてその残骸を見るたびに、僕らは自分にこう烙印を押します。 「何をやっても続かない、意志の弱い人間だ」と。
はじめまして、「凸凹ADHD」のデコさんです。 今日は僕らを長年苦しめてきた「三日坊主」という名の呪い。 その呪いを「リーダーシップ」へと変える、魔法についてお話しします。
なぜ、僕らの「熱」は、すぐに冷めてしまうのか
この謎を解く鍵は、僕らの脳が「0→1」に特化した、ロケットエンジンであるという事実にあります。 ADHDの脳は、新しいことを始める時に大量のドーパミンを放出します。 「0」から「1」を生み出す、最も創造的な瞬間に、爆発的なエネルギーを発揮するのです。 「これだ!」「絶対に、面白い!」 その最初の「ひらめき」と「情熱」は本物です。
しかし、そのプロジェクトが地道な「作業」のフェーズに入った瞬間。 つまり、「1」を「100」にしていく段階です。 僕らの脳は、それを「退屈」だと判断します。 そしてドーパミンの供給を、ピタリと止めてしまうのです。 燃料を失ったロケットが、一人で宇宙の果てまで飛べないのは当然のこと。 これは決して、僕らの「飽きっぽさ」や「忍耐力のなさ」が原因ではありません。 僕らの脳が、退屈な作業を嫌うという特徴を持っている。ただ、それだけのことなのです。
僕が「一人で戦う」のをやめた日
僕は昔、この特性に深く絶望していました。 何をやっても、一人で最後までやり遂げることができない。
しかし、ある時、僕は気づきました。 そもそも、僕の脳は「一人で、全てをやり遂げる」ようにはできていないのだと。
その大きなきっかけとなったのが、以前Noteに書いた、ある休日の発見です。 僕は、かつて自分の「意志の弱さ」を克服しようと、もがいていました。 しかし、高尾山に登るという、しんどいはずの習慣が、なぜか三ヶ月も続いたのです。
一人では、ランニングシューズを買っても、三日と続かなかった僕が。 なぜ、高尾山登山は続いているんだろう?
その答えは、あまりにもシンプルでした。 「友達と、約束しているから」 ただ、それだけだったのです。
ADHDの脳が持つ「実行機能の弱さ」。 つまり、自分の中から「やる気」を生み出し、行動を継続させる力の弱さ。 これを、「仲間との約束」という、シンプルで強力な「外部の力」に、任せてしまえばよかったのです。
(この時の詳しい心境については、こちらの記事に書き記しました)
【ADHD離婚からの再生⑤】僕が「一人で頑張る」を諦めた、ある休日の発見。
「一人で、最後までやり遂げるための、持続的なエネルギーが不足している」という課題は、「その代わりに、一緒にやり遂げてくれる仲間を、最初に惹きつけるための、爆発的なエネルギーを持っている」という、リーダーとしての才能の、裏返しだったのです。
僕は、一人で全てをこなそうとして、苦しんでいました。 しかし、僕の本当の役割はそうではありませんでした。 僕の役割は、チームの進むべき未来を指し示し、その熱で、仲間を巻き込む「司令官」だったのです。
もう僕らが、一人で全てを背負い込む必要はありません。 「最後まで、やり遂げられない自分」を、責めるのはもう終わりにしましょう。
仲間を巻き込んで、一人では到底行けなった場所に行きましょう。
【凸凹ADHD】シリーズ
①あなたの「弱み」は、裏返せば「武器」になる。
②「先延ばし癖」という絶望が、最強の「集中力」に変わる瞬間
③なぜ僕らは「人の痛み」に、誰より敏感なのか
④「退屈な時間」に、1秒も耐えられない理由
⑤「時間」にルーズなのは、脳が「未来」を旅しているからかもしれない
⑥「三日坊主」という絶望が、「リーダーシップ」に変わる日
⑦なぜ僕らは「グループ会話」が苦手で、「1対1」が得意なのか
⑧なぜ僕らの部屋は片付かず、頭の中は新しいことで溢れているのか
⑨なぜ僕らは、絶望の数だけ「最強」になれるのか