凸凹ADHD

過集中

 

 

「締め切り」という名のドーピング【過集中③】

 

 

机に向かう。5分後、気づけばスマホで関係ない動画を見ている。

部屋を片付けようと思う。10分後、昔のアルバムを見つけて思い出に浸っている。

はじめまして、「凸凹ADHD」のデコさんです。

気が付けば、意識が別のところに向いている。

「コツコツ努力する」「計画的に物事を進める」…もっも大事なことですが、なかなか実行することができません。

計画を立てても、その通りに進んだためしがない。

「なんで自分は、こんなにダメなんだろう…」

そんな自己嫌悪の気持ちを、何度味わってきたか分かりません。

もしあなたが、僕と同じように「ギリギリにならないと動けない自分」にうんざりしているのなら、少しだけ僕の昔話にお付き合いください。

僕らが持つその「欠点」こそが、実はとんでもない才能の裏返しであり、人生を逆転させる「必殺技」の源泉だということを、これから証明します。

中学3年生の夏。陸上部に青春の全てを捧げた僕の成績は、お世辞にも良いとは言えない、ごく平均的なものでした。日々の授業も、正直なところ、集中できているとは言えませんでした。

しかし、そんな僕に、無謀な目標ができました。

県内で一番難しいと言われる、あの進学校に行くこと。

なぜなら、陸上部でキャプテンを務めていた親友が、そこを目指していたからです。

「あいつと一緒の高校に行きたい」という、ただそれだけの純粋で、衝動的な動機でした。部活を引退したあと、共に高め合うことの楽しさをもう少し味わいたかったんだと思います。

当然、学校の先生からは笑われ、猛反対されました。

「お前の成績で、あそこは無理だ。夢を見るのはやめて、もっと下のここにしなさい」

先生のその言葉は、僕の心の奥底に眠っていた「反骨精神」という名の導火線に、火をつけるには十分すぎるものでした。

「見てろよ。絶対に合格してやる」
「締め切り」という名の、最強のドーピング

その日から、僕の生活は一変しました。

僕の目の前には、「高校受験まで、あと数ヶ月」という、人生で初めて意識する、巨大で、絶対に動かせない「締め切り」が立ちはだかっていました。この「締め切り」という存在が、僕の脳に何をもたらしたか。

それは、「危機感」と「集中」です。

僕らの脳は、普段は省エネモードで、あちこちに興味が飛び散っています。

しかし、「このままではマズい!」という危機的状況に陥ると、脳内物質のノルアドレナリンが放出され、強制的に覚醒モードに切り替わるのです。

まるで、火事場の馬鹿力。

僕は、陸上で培った集中力を全て勉強に注ぎ込みました。

ここで発動したのが、僕らの得意技「過集中」です。

一度火がついた僕の集中力は、自分でも驚くほどでした。これまで苦手だった科目の内容が、スポンジが水を吸うように頭に入ってくる。

今までいろいろなことに注意がそらされていたのが嘘のように、受験のことだけを考えて毎日生活をしていました。

ギリギリで輝く、僕らの才能

結果、僕は見事に第一志望の高校に合格しました。

先生の「無理だ」という言葉を覆した快感は、今でも忘れられません。

この経験から僕が学んだのは、「締め切り」は僕らにとって、単なる時間の制約ではないということです。

それは、僕らの脳に眠る「過集中」というエンジンを強制的に始動させ、普段の自分では考えられないほどのパフォーマンスを引き出してくれる、最強の発動スイッチなのです。

もちろん、毎回締め切りに追われる生活は、心臓に悪いし、長期間続けることは難しいと思います。

コツコツが苦手だって、いいじゃないですか。

僕らは、ギリギリの土壇場で、誰よりも輝ける才能を持っている。

そのことを忘れずに、自分だけの「締め切り」をうまく設定して、人生という名のレースを駆け抜けていきましょう。

 

 

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