凸凹ADHD

 

 

あなたの「行動記録」は宝の山だよ
【ADHD目標と計画⑥】

前回までの記事で、完璧な計画を捨て「タスクメニュー」を作り、そして心強い「相棒」を見つけた。 僕らはもう、日々のタスクにただ追われるだけの存在ではありません。自分の特性を理解し、前に進むための武器と仲間を手に入れたのです。

しかし、ここで満足してはいけません。 僕らの目的は、毎日をなんとか乗り切ることだけではないはずです。 その先にある、「なりたい自分」に近づくこと(成長すること)こそが、本当の目的なのですから。

「タスクメニュー」と「相棒との対話」は、日々の行動を支える土台です。 今日は、その土台の上で、僕らがどうやって高くジャンプしていくか。日々の記録を、未来を切り拓くための「強力な指針」に変える方法についてお話しします。

相棒との対話。それは、単なる「頑張りの報告会」ではありません。それは、あなたという人間の、最も正確な「取扱説明書」を作るための、貴重なデータの宝庫なのです。あなたの「行動記録」は、宝の山なのです。

しかし、ADHDの僕らの脳は、話した内容も、そこから得た気づきも、すぐに忘れてしまいます。 だからこそ、客観的な「記録」が、僕らを成長させるための鍵になります。

相棒との対話の時間、スマートフォンのボイスレコーダーでその会話を録音してみましょう。(もちろん、相棒の許可を得てくださいね) そして、その音声データを、僕らの新しい武器「NotebookLM」に読み込ませるのです。会話を録音し、NotebookLMで「AI分析官」を作るのです。

NotebookLMとは? Googleが開発した、あなたのノートや資料に基づいて対話できるAIツールです。アップロードした情報だけを元に、質問に答えたり、要約したりしてくれます。つまり、あなたの会話記録に世界で一番詳しい、あなただけの「パーソナルAI分析官」になってくれるのです。

録音した音声をNotebookLMにアップロードしたら、あなたの分析官に、こんな質問をしてみてください。

「この2週間で、僕が『できたこと』を箇条書きで要約して」
「僕が『うまくいかなかったこと』の共通点は何?」
「僕が立てた『次の作戦』をリストアップして」
「僕のエネルギーレベルが高い曜日はいつだった?」

NotebookLMは、あなたの言葉の中から客観的な事実だけを抽出し、冷静に分析してくれます。これにより、自分一人では気づけなかった行動パターンや思考のクセが、手に取るように見えてくるのです。

相棒との会議は2週間に一度。そのうち2回に一度、つまり月に一度は、この「AI分析官」を交えた特別な作戦会議を開いてみましょう。 NotebookLMがまとめてくれた客観的なデータは、未来の自分のための「勝ちパターン」を見つけ出すための最高の材料になります。 この分析結果を元に、月に一度、自分自身に3つの質問を投げかけましょう。

質問1:「この1ヶ月、どんなパターンがあった?」(NotebookLMの要約を見る)
「水曜日は、決まって低エネルギーのタスクしかできていないな」
「Noteの記事は、午前中に手をつけると、高確率で書き上げられている」
「システム開発のタスクは、スターターメニューすら選んでいない日が多いな…」

質問2:「そのパターンから、何が分かる?」(NotebookLMの分析を元に解釈する)
→「週の半ばは、疲れが溜まって集中力が落ちるのかもしれない」
→「僕の集中力のピークは、午前中にあるみたいだ」
→「システム開発というタスク自体に、何か心理的な抵抗があるのかもしれない」

質問3:「じゃあ、次の1ヶ月で試せる『小さな実験』は?」(未来の行動計画を立てる)
→「次の水曜は、あえて『休息日』と位置づけて、低エネルギーのタスクしかやらないと決めてみよう」
→「一番大事なNoteの執筆は、必ず午前中にやるようにタスクメニューの順番を入れ替えてみよう」
→「システム開発のスターターメニューを、『5分だけコードを眺める』という、もっと簡単なものに変えてみよう」

この「AI分析官との作戦会議」を繰り返していくと、自分のエネルギーの波や、集中できる時間帯が正確にわかってきます。 それが分かれば、僕らはタスクメニューを、より戦略的に使うことができるようになります。

つまり、自分の「高エネルギー」の時間を、最も成長につながるタスクに意図的にぶつけるのです。
「僕のゴールデンタイムは火曜の午前中だ。だから、この時間だけは、一番難しくて重要な『新機能の設計』に集中しよう」
「週末は比較的エネルギーが高いから、土曜の午後に『新しいセミナーの企画』という、未来のための時間を確保しよう」

これはもはや、日々のタスクをこなすための守りの戦略ではありません。 自分の特性を最大限に活かし、未来を創るための「攻めの戦略」です。

僕らが目指すのは、完璧な人間になることではありません。 自分自身の最高の「戦略家」になることです。

さあ、あなたの声という記録を元にAIという強力な分析官と共に、あなたのタスクメニューを目標をブラシュアップしていってください。

 

ADHD目標と計画シリーズ

①なぜ僕らの「壮大な目標」は気付けば消えてしまっているのか
②退屈な作業を魅力的な「プロジェクト」に変える方法
③ADHDの「完璧主義」は行動を止めてしまう
④完璧な計画はゴミ箱に捨ててみた
⑤でも、一人では難しい。じゃあ、相棒を見つけよう。
⑥あなたの「行動記録」は宝の山だよ
⑦タスク管理のその先、「なりたい自分」に近づく方法
⑧最強のシステムが「飽き」に負けるとき。僕らの最終戦略
⑨僕らの取り組みは、まだ始まったばかり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その他のおすすめ記事

ついに完成。パートナーの「トリセツ」 【ADHD人間関係⑩】 はじめまして、「凸凹ADHD」のデコさんです‥ 続きを読む
「あ、ありがとう!」 パートナーが、僕のために、何かをしてくれた時。 僕らの心の中には、間違いなく、感謝の気‥ 続きを読む
なぜ彼は、私の話を「聞いていない」のか。 【ADHDパートナー①】 「それでね、今日、会社でこんなことがあ‥ 続きを読む