
ADHDの僕らが「何を話せばいいか分からない」を卒業する。
【伝える技術⑤】
エレベーターの中での、気まずい沈黙。 会議が始まる前の、あの何を話せばいいか分からない数分間。 パーティーで、初対面の人と、当たり障りのない会話を続けなければならないあの時間。
多くの人が、ごく自然にこなしているように見える「雑談」が、僕らにとっては、時に、非常に高度なミッションのように感じられる。 頭の中は、フル回転しているのに、口から出てくる言葉はぎこちない。そして、心の中で、つぶやくのです。 「なんてつまらない人間なんだろう」と。
はじめまして、「凸凹ADHD」のデコです。 今日は、ADHDの僕らが、この「雑談」という名のコミュニケーションの壁をどうすれば乗り越えられるのか。 そして、その「苦手意識」を持ってしまう原因についてお話しします。
なぜ、僕らの脳は「世間話」に、エネルギーを供給できないのかというとそれは、一番には、僕らの脳が常に「面白いこと」を探していることが原因になっています。
ADHDの脳を動かす、最も強力なガソリンは、「ドーパミン」です。 そして、そのドーパミンは、「新しい発見」や「知的な刺激」、「予測不能なワクワク」に対して、大量に放出されます。
しかし、「雑談」はどうでしょうか。 天気の話、週末の予定、当たり障りのないニュース。 それらの多くは、僕らの脳にとっては、すでに知っている、あるいは、結論が見えている、「退屈」な情報です。 そのため、僕らの脳は、その会話に、エネルギー(ドーパミン)を供給するのを拒否してしまうのです。
僕らの脳が、表面的な情報の交換よりも、もっと深く、本質的な「繋がり」や「発見」を、常に求めている、非常に「知的」で、「情熱的」な仕組みになっているという証拠とも捉えられますね。
ただ、僕は昔から、何となく、自分が「初対面の出会いが得意だ」と感じていました。しかし、その一方で、会話の「最初のとっかかり」だけは、少し苦手意識がありました。何を話せばいいのか、一瞬、頭がフリーズしてしまいます。
しかし、ADHDについて学ぶ中で、僕は、その「謎」をはっきりと理解しました。僕の脳は、当たり障りのない会話という「退屈」な時間には、モチベーションが湧かないということなのです。しかし、最初の5分さえ乗り切れば、いくらでも話を続けることはできるんです。つまり、雑談のその先に、「まだ知らない、面白い世界を知れる」という「お宝」が待っていると分かっていれば、雑談をすることの退屈さも別の話になってくるのです。
そこで、僕は、自分だけの「マニュアル」を作ることにしました。 それは、比較的に退屈な可能性が高い最初の雑談というプロセスを、最短距離で走り抜け、僕らの脳の好奇心が沸き上がるまでの、当たり障りのない「最初の質問」リストです。
大切なのは、奇をてらった質問ではありません。目的は、ただ一つ。会話を、スムーズにスタートさせることです。 例えば、
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「この週末は、何か予定あるんですか?」
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「このイベント(場所)、来るのは初めてですか?」
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「最近、何か面白いことありましたか?」
この、ごく普通の質問で、会話が一度、始まってしまえば。
もう、僕らのものなのです。マニュアルを作るまでもないかもしれません。最初の質問なんて何でも良かったんです。エンジンが掛かるまでの余白ぐらいに考えると気が楽かもしれません。
I一度会話が動き出せば、僕らの脳が生まれつき持っている、尽きることのない「好奇心」を使って、相手という未知の存在を知るための、「質問」が、次から次へと溢れ出してきます。
もう、僕らが、「雑談が苦手な自分」を責める必要はありません。それは、僕らの脳が、もっと深く、本質的な「繋がり」や「発見」を、常に求めている、非常に「知的」で、「情熱的」でることの、何よりの証拠なのです。