
「先延ばし癖」という絶望が、最強の「集中力」に変わる瞬間【凸凹ADHD②】
締め切りは、明日の朝。 PCの画面は、真っ白なままだ。 頭の中では、「やらなきゃ」という声が鳴り響いている。
しかし、体は、まるで鉛のように動かない。
気づけば、関係のないネットニュースを読みふけり、
部屋の隅のホコリが気になり、掃除したり関係の無いことに気が行ってしまう。
「なぜ、こうなんだろう」
「どうして、一番大事なことから、逃げてしまうんだろう」
焦りと、絶望。
その、息苦しいほどの感情の中で、
何度も、夜を明かしてきたのではないでしょうか。
はじめまして、「凸凹ADHD」のデコさんです。 今日は、僕らを最も苦しめる、この「先延ばし癖」という名の最悪のスパイラルと、
その先に待っている、奇跡のような「覚醒」について、お話しします。
あなたの脳に「神が降りてくる」瞬間
しかし、不思議なことに。 締め切りという、絶対的な「壁」が、目の前に迫った、その瞬間。まるで、何かが「降りてくる」ような、感覚を得ることも事実です。
さっきまでの、あの鉛のような体が、嘘のように軽くなる。動き出すと、何でもっと早くしておかなかったんだろうと、すごいスピードで動き出す。
頭は驚異的なスピードで回転を始め、何日もかけてやるような作業を、
信じられないほどの集中力で、たった数時間で、完成させてしまう。
ADHDの人であれば、この先延ばし癖と過集中を繰り返した経験が幾度となくあるかと思います。
なぜ「先延ばし」と「過集中」は、セットなのか?
僕が、自分のADHDという特性と、本気で向き合い始めた時、気づきました。
僕の人生を、何度も地獄に突き落としてきた「先延ばし癖」という悪魔と、
僕の人生を、何度も奇跡的に救ってくれた「過集中」という天使は、
全くの別人ではなく、同じ顔を持つ、一人の存在だったのです。
ADHDの脳は、「重要かどうか」ではなく、「面白いかどうか(=ドーパミンが出るか)」で、動くようにできています。 退屈で、骨の折れる作業は、脳にとって「面白くない」ため、ギリギリまで、それから逃げようとします。これが、「先延ばし癖」の正体です。
しかし、締め切りが迫り、「これをやらないと、大変なことになる!」という、強烈な「危機感(ストレス)」が生まれると、脳内では、ドーパミンの代わりとなる、ノルアドレナリンという物質が、大量に放出されます。 この、ノルアドレナリンこそが、あなたの脳の「ターボスイッチ」を押し、驚異的な集中力を生み出す、起爆剤なのです。
つまり、あなたの「先延ばし癖」は、この「過集中」というスーパーパワーを発動させるために、極めて危険ではあるけれど、必要不可欠な「儀式」だったのかもしれません。
「過集中」性能と、最適な「発動条件」を、客観的に知ることができたら、あなたの人生は、どれほど変わるでしょうか。
現在、僕は自己分析システム『ADHDのための凸凹分析』を、開発しています。
このシステムでは、24個のADHDの特徴を割り出しました。
それを12個の長所と12個の短所として扱います。
それぞれが対になっていて、「先延ばし癖」と「過集中」が対になる一つのパターンです。
そして、「先延ばし癖」のレベルと「過集中」のレベル を、それぞれ数値化し、レーダーチャート上で、その「表裏一体の関係性」を、視覚的に確認することができます。
また、将来的には動画セミナーを各項目に対して追加していきたいと考えています。今回の記事のような、「先延ばし癖」があり、「過集中」をすることが多い方には、「過集中」の「発動条件」をコントロールすることで人生を変えるワークショップ。のようなものが良いのかもしれません。
僕らは、怠け者なのではありません。
ただ、究極の状況で、最高のパフォーマンスを発揮する、特殊な「脳」を持っているだけなのです。
その「過集中」の「発動条件」は何なのか、まずはそれを自分で考えて見てください。今まで「過集中」が起きたパターンを書き出してみてください。きっと共通した発動条件があるはずです。そして、それをコントロールすることにチャレンジしてみてください。
どうすればこの才能を人生の「諸刃の剣」ではなく、最強の「武器」として、使いこなせるようになるのか。
あなたの「弱み」のすぐ裏側には、まだあなた自身も気づいていない、
途方もない「強み」が、眠っているのかもしれません。
【凸凹ADHD】シリーズ
①あなたの「弱み」は、裏返せば「武器」になる。
②「先延ばし癖」という絶望が、最強の「集中力」に変わる瞬間
③なぜ僕らは「人の痛み」に、誰より敏感なのか
④「退屈な時間」に、1秒も耐えられない理由
⑤「時間」にルーズなのは、脳が「未来」を旅しているからかもしれない
⑥「三日坊主」という絶望が、「リーダーシップ」に変わる日
⑦なぜ僕らは「グループ会話」が苦手で、「1対1」が得意なのか
⑧なぜ僕らの部屋は片付かず、頭の中は新しいことで溢れているのか
⑨なぜ僕らは、絶望の数だけ「最強」になれるのか